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不動産取得時に課税される【登録免許税】!税額をシミュレーションしてみよう

「登録免許税ってなんだろう?」

「不動産とどんな関係があるのかな?」

多くの手続きに対して課税される登録免許税ですが、詳しいことは分からない方も多いのではないでしょうか。

経営者が特に知っておきたい、登録免許税が課されるタイミングは下記2つです。

  • 不動産取得時
  • 会社設立時

本記事では、不動産取得時にかかる登録免許税について解説していきます。

税額の計算式納付方法を確認し、登録免許税がいくらかかるのかを把握できるようにしておきましょう!

目次

登録免許税とは

登録免許税とは、登録免許税法で規定される手続きを行う際に課される国税です。

不動産を取得すると登記という手続きが必要になりますが、このときに登録免許税が課税されます。

登記とは、取得した不動産に関する情報を、法務局に設置されている登記簿という公の帳簿に記録するものです。

多くの不動産には登記が実施されており、その不動産が自分の所有物になったことを第三者に主張することを目的としています。

登録免許税の納税義務者はその不動産の登記を受ける人で、登記を受ける人が2人以上いる場合は、連帯して納付する義務を負います。

不動産登記の種類

不動産に関する主な登記は、下記4つです。

  1. 表題登記
  2. 所有権保存登記
  3. 所有権移転登記
  4. 抵当権設定登記

①以外は登記時に登録免許税が課されるので、注意して見ていきましょう!

①:表題登記

建物が新築された場合、どのような建物かを公示する登記が表題登記です。

最初の所有者1ヶ月以内に行うもので、建物の所在地番・構造・床面積などを特定する登記を申請します。

表題登記は法務局に報告する登記なので、登録免許税はかかりません

しかし、申請書類の作成は土地家屋調査士依頼するのが一般的なので、手数料報酬料がかかるものと考えておきましょう。

②:所有権保存登記

所有権保存登記は、新築の建物に対して所有者が誰かを明示する登記です。

表題登記の次に行い、登記簿に所有者の住所・氏名の他、新築の日付けなどを記載します。

所有権保存登記を行うかは所有者の任意ですが、土地・建物に抵当権を設定する場合には必要です。

 抵当権とは

抵当権とは、建物購入の際に金融機関から借入をした人が、返済できない場合に備えて土地建物担保とする権利のことです。

抵当権設定登記によって、権利の所在が下記のようになります。

  • 金融機関…抵当権者
  • 住宅ローンなどの借入者…抵当権設定者

抵当権者は、抵当権を設定した不動産が競売にかけられた場合などに、他の債権者に優先して弁済が受けられます。

③:所有権移転登記

所有権移転登記とは、土地や建物を購入したときに、その所有権売主から買主に移ったことを明示する登記です。

買主が第三者に対して、不動産の所有権を主張するために必要になります。

所有権移転登記は売買だけでなく、相続・贈与などで土地や建物の所有者が変わる場合にも行います。

④:抵当権設定登記

抵当権設定登記とは、抵当権の所在を明らかにするために行う登記です。

抵当権設定登記では、登記簿に下記のような情報を記載します。

  • 登記の目的
  • 登記の原因
  • 債権額
  • 利息
  • 損害金
  • 債務者
  • 抵当権者(金融機関名)

抵当権設定登記をする際には、抵当権設定契約書権利証司法書士への委任状などが必要です。

登記ごとの税率

不動産登記時の登録免許税額を求める際に基本となる式は、下記の通りです。

【登録免許税の額】
税額=土地や建物の評価額(固定資産税評価額)×税率
 固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格のことです。

各市町村(東京都23区の場合は都)が算定します。

確認方法は、下記の通りです。

  • すでに不動産を所有している場合

固定資産税の納税通知書に含まれる課税明細書を確認すると、該当する不動産の固定資産税評価額が分かります。

  • 新築住宅を購入する場合

どんな家になるかの詳細が決まらなければ、家屋の固定資産税評価額は算出できません

新築住宅を検討している場合は、モデルハウスモデルルームで尋ねると、税額の目安を教えてもらえます。

ただし、あくまでも概算のため、実際の税額とは違う場合があるので注意してください。

  • 中古住宅を購入する場合

すでに固定資産税評価額は出ているので、購入したい物件の不動産仲介会社に問い合わせれば教えてもらえます。

しかし登録免許税の税率は、登記の種類ごと・建物や土地ごとに細かく決められています。

主な不動産登記のうち、登録免許税が課税される②〜④の登記について、それぞれの税率軽減措置を見ていきましょう!

②:所有権保存登記

所有権保存登記の税率を、下記の表にまとめました。

登記の種類 土地・建物

住宅用建物の軽減

(2022年3月31日まで)

認定長期優良住宅

(2022年
3月31日まで)

認定低炭素住宅

(2022年
3月31日まで)

課税標準 税率 軽減税率 軽減税率 軽減税率
新築建物 中古建物
所有権保存登記 法務局の認定価格 0.4% 0.15%* - 0.1% 0.1%
特に知っておくべき軽減税率の条件は、新築建物についてのものです。
 
*新築建物の所有権保存登記の軽減税率 適用条件

新築建物所有権保存登記時に軽減税率を受けるための条件は、下記3点です。

  1. 自己居住用の住宅であること
  2. 新築または取得後1年以内登記されたものであること
  3. 登記床面積50㎡以上であること

これらの条件を満たすと、税率が0.4%から0.15%になる軽減措置を受けられます。

認定長期優良住宅の詳細はこちらをチェック!

 認定炭素住宅とは

認定炭素住宅とは、エコまち法(都市の低炭素化の促進に関する法律)で定められている建築物のことです。

建築物での生活・活動によって発生する二酸化炭素の排出抑制するために、低炭素化への措置が講じられている建築物を指します。

下記3点のすべてを満たす建築物について、所管行政庁(都道府県や市または区)に認定申請を行うことにより、低炭素建築物として認定を受けることが可能です。

1.省エネルギー基準を超える性能をもつこと、かつ低炭素化に資する措置を講じていること
2.都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針に照らし合わせて適切であること
3.資金計画が適切なものであること

(参照:国土交通省作成資料「エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要」

③:所有権移転登記

所有権移転登記の税率は、下記のようになります。

登記の種類


土地・建物

住宅用建物の軽減

(2022年3月31日まで)

認定長期優良住宅

(2022年
3月31日まで)

認定低炭素住宅

(2022年
3月31日まで)

課税標準 税率 軽減税率

 

軽減税率

軽減税率
新築建物 中古建物

 

 

所有権移転登記



 

売買

土地
固定資産税評価額

1.5%

2021年3月31日まで)

2%

2021年4月1日以降)

- - - - -
建物 2% 0.3% 0.3%* 共同住宅は0.1% 戸建て住宅は0.2% 0.1%
相続
0.4% - - - -

 

遺産・贈与

2% -  - - -
軽減税率の要件として知っておきたいものは、中古建物についてです。
 
 
*中古建物の所有権移転登記の軽減税率 適用条件

中古建物所有権移転登記時に軽減税率を受けるための条件は、下記4点です。

  1. 自己居住用の住宅であること
  2. 取得後1年以内登記されたものであること
  3. マンション等耐火建築物は25年以内、木造等耐火建築物以外は20年以内建築されたものであること
  4. 登記床面積50㎡以上であること

これらの条件を満たすと、税率が2%から0.3%になる軽減措置を受けられます。

ただし、リフォームなどが行われた住宅用家屋を取得する場合には、さらに税率が0.1%2022年3月31日までに取得)までお得になるので覚えておきましょう。

④:抵当権設定登記

抵当権設定登記の税率は、次の通りです。

登記の種類 土地・建物

住宅用建物の軽減

(2022年3月31日まで)

認定長期優良住宅

(2022年
3月31日まで)

認定低炭素住宅

(2022年
3月31日まで)

課税標準 税率 軽減税率 軽減税率 軽減税率
新築建物 中古建物
抵当権設定登記 債権金額 0.4% 0.1% - -

 

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不動産ごとの税額シミュレーション

不動産取得時にかかる登録免許税がいくらになるのか、具体的な税額が気になりますよね

下記の3種類をそれぞれシミュレーションしてみましょう!

  • 新築一戸建ての場合
  • 中古一戸建ての場合
  • 土地だけを取得した場合

新築一戸建ての場合

新築の一戸建ては、建物と土地セットで販売されるのが通例です。

このような不動産を取得した場合は、それぞれ下記のような登記が必要になります。

  • 建物部分…初めて登記簿に記載されるので、所有権保存登記を行う
  • 土地部分…売主から買主への所有権移転登記を行う

建物部分と土地部分の登録免許税を、それぞれ計算していきましょう。

建物部分

建物部分所有権保存登記にかかる登録免許税を求める式は、次の通りです。

建物部分の所有権保存登記(新築)
新築建物課税標準価格 × その建物の床面積 × 税率 = 登録免許税

新築建物は、新築された翌年の4月1日以降に評価証明を取得できます。

そのため、固定資産税評価額が定まっていない場合には、新築建物課税標準価格を用いて計算しましょう。

新築建物課税標準価格は、地方法務局ごとに定められている新築建物課税標準価格認定基準表から算出します。

都道府県ごとの法務局のHPで確認できるので、チェックしてみてください。

土地部分

土地部分所有権移転登記にかかる登録免許税の額は、以下の式で計算します。

土地部分の所有権移転登記(新築)
その土地の固定資産税評価額 × 税率 = 登録免許税

その土地の固定資産税評価額は、おおむね売買価格の8割程度になるのが一般的です。

正確な額は、その土地を販売する不動産業者に問い合わせれば確認できます。

シミュレーション

新築一戸建て住宅の条件を下記のように設定しました。

  • 登記日:2020年10月1日
  • 登記簿面積:100㎡
  • 新築建物課税標準価格:9万5000円/㎡
  • 土地の固定資産税評価額:1200万円
  • 自己居住用の住宅であり、新築1年以内に登記されている

建物部分所有権保存登記土地部分所有権移転登記になることに注意して計算してみましょう。

登録免許税 計算式

建物部分

(所有権保存登記)

軽減税率の要件を満たしているので、0.15%の税率が適用される。

9万5000円×100㎡×0.15%1万4250円

土地部分

(所有権移転登記)

2021年3月31日以前に登記されているので、税率は1.5%となる。

1200万円×1.518万円

合計 19万4250円

登録免許税の合計は、19万4250円となりました。

中古一戸建ての場合

一般的に一戸建ての中古住宅は、建物と土地セットになって販売されます。

このような物件を購入した場合、建物・土地ともに売主から買主に所有権が移るため、どちらにも所有権移転登記が必要です。

建物・土地それぞれについて、登録免許税の計算式を見ていきましょう!

建物部分

建物部分所有権移転登記に課せられる登録免許税は、以下の式で計算します。

建物部分の所有移転登記(中古)
建物部分の固定資産税評価額 × 税率 = 登録免許税

建物部分の固定資産税評価額は、その物件を取り扱う不動産業者などに問い合わせれば確認できます。

税率は原則として2%ですが、築20年以内の木造住宅を取得する場合などには軽減税率が適用され、0.3%になります。

なお、中古住宅の建物部分の固定資産税評価額は、売買価格より大幅に安くなるのが一般的です。

土地部分

土地部分所有権移転登記に課せられる登録免許税の計算式は、以下の通りです。

土地部分の所有移転登記(中古)
土地部分の固定資産税評価額 × 税率 = 登録免許税

税率は原則として2%ですが、2021年3月31日までは全ての土地の登記に対する登録免許税に軽減税率が適用され、1.5%となります。

なお、土地部分の固定資産税評価額は、売買価格70~80%程度になるのが一般的です。

シミュレーション

一戸建ての中古住宅の条件は、下記の通りです。

  • 登記日:2020年11月1日
  • 登記簿面積:100㎡
  • 建物部分の固定資産税評価額:800万円
  • 土地部分の固定資産税評価額:1200万円
  • 築20年以内の木造住宅
  • 自己居住用の住宅であり、取得後1年以内に登記されている

このような条件を持つ中古一戸建て住宅の登記は、建物部分・土地部分のどちらも所有権移転登記となります。

登録免許税 計算式

建物部分

(所有権移転登記)

軽減税率の適用条件を満たしているので、0.3%の税率が適用される。

800万円×0.3%2万4000円

土地部分

(所有権移転登記)

2021年3月31日以前に登記されているので、税率は1.5%となる。

1200万円×1.5%18万円

合計 20万4000円

登録免許税の合計は20万4000円です。

土地だけを取得した場合

土地だけを取得した場合は、所有権移転登記が必要です。

土地の所有権移転登記に課せられる登録免許税は、以下の式で計算します。

所有権移転登記(土地だけの取得)
その土地の固定資産税評価額 × 税率 = 登録免許税

その土地を管轄する市区町村役場などで、固定資産課税台帳登録事項証明書の発行を希望すれば、固定資産税評価額の確認が可能です。

税率は原則2%ですが、前述の通り2021年3月31日までは全ての土地の取得に対する登録免許税に軽減税率が適用され、1.5%となります。

シミュレーション

登記日などの条件を下記のように設定します。

  • 登記日:2020年12月1日
  • 土地購入価格:1300万円
  • 固定資産税評価額:1000万円

土地部分の所有権移転登記にかかる登録免許税だけを計算すればOKです。

登録免許税 計算式

土地部分

(所有権移転登記)

2021年3月31日以前に登記されているので、税率は1.5%となる。

1000万円×1.5%15万円

合計 15万円

この場合にかかる登録免許税は、15万円になりました!

お問い合わせはこちら

納付方法

不動産に関する登録免許税納付方法について、確認していきましょう!

納付方法は下記の3つです。

  1. 電子納付
  2. 現金納付
  3. 印紙納付

①:電子納付

電子納付は、インターネットバンキングモバイルバンキングATMのいずれかを利用して行います。

手続きの流れは下記の通りです。

  • 申請用総合ソフトをインストールする
  • 不動産登記の申請情報を作成する
  • 電子納付情報を発行する
  • 電子納付を行う

ステップ1:申請用総合ソフトをインストールする

不動産登記をオンラインで申請・納付するためには、申請用総合ソフトが必要になります。

申請用総合ソフトは、登記・供託オンライン申請システムのHPからダウンロードして下さい。

ステップ2:不動産登記の申請情報を作成する

申請用総合ソフトを起動させ、不動産登記の申請情報を作成します。

登記申請書様式は目的に合わせて選択できるので、適切な申請様式を選択しましょう。

ステップ3:電子納付情報を発行する

申請情報を登記・供託オンライン申請システムに送信すると、電子納付に必要な電子納付情報が発行されます。

ステップ4:電子納付を行う

発行された電子納付情報をもとに、下記のいずれかより登録免許税を納付しましょう。
 
  • インターネットバンキング
  • モバイルバンキング
  • 電子納付対応のATM

②:現金納付

現金で納める場合は領収済通知書(納付書)を利用し、金融機関または税務署に現金で納付します。

具体的な流れは下記の通りです。

  • 領収済通知書(納付書)に記入する
  • 登録免許税を納付する
  • 領収証書の交付を受ける

     

ステップ1:領収済通知書(納付書)に記入する

まずは金融機関もしくは税務署で領収済通知書(納付書)を入手し、必要な情報を記入します。

記入が必要な項目は下記の通りです。

  • 年度
  • 税目番号(税目番号)
  • 税務署名(税務署番号)
  • 登録免許税の金額(本税・合計額)
  • 納付者の住所氏名

ステップ2:登録免許税を納付する

金融機関または税務署の窓口に行き、領収済通知書(納付書)を提出して登録免許税を現金で納付します。

ステップ3:領収証書の交付を受ける

領収済通知書(納付書)は、領収済通知書(納付書)領収控領収証書の3枚綴りです。

登録免許税の納付完了後、領収日付印が押された領収証書が切り離され、納税者に交付されます。

領収証書は登記申請手続き時必要になるので、紛失しないようにしてください。

③:印紙納付

登録免許税が3万円以下の場合は、収入印紙を登記申請書に貼り付けて提出することもできます。

法務局に登記を申請する際に、登記申請書税額相当分収入印紙を貼り付けて納めましょう。

手続きの流れは下記の通りです。

  • 収入印紙を購入する
  • 収入印紙を貼り付ける
  • 申請書を提出する

ステップ1:収入印紙を購入する

法務局郵便局で、登録免許税相当収入印紙を購入します。

ステップ2:収入印紙を貼り付ける

登録免許税相当額の収入印紙を購入したら、下記いずれかのように貼り付けます。

  • 登記申請書に直接貼り付ける
  • 別の登録免許税納付用台紙に貼り付ける

登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けた場合は、登記申請書の次に綴ってホチキスでとめ、「登記申請書」と「登録免許税納付用台紙」の綴り目に1ヶ所契印*します。

収入印紙の登録免許税納付用台紙は規定がないため、A4用紙を代用しても大丈夫です。

どちらのように貼り付けた場合でも、収入印紙への消印は不要なので注意してください。

*…2枚以上の契約書が1つの連続した文書であることを証明するために、両ページにまたがって押すハンコのこと。

ステップ3:申請書を提出する

最後に印紙税を直接貼り付けた登記申請書、または上記のように2枚綴りにした申請書法務局(登記所)へ提出します。

無事受付されれば、登記・納税はともに完了です。

納付のタイミングは?

登録免許税には明確な納付期限ありません

しかし登録免許税の税額は、固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額を基に算定されます。

そのため実質的には、証明書が発行された年度内(4月1日~翌年3月31日)が納付期限です。

不動産取得前に、登録免許税を計算してみましょう!

不動産取得時にかかる登録免許税について、お分かりいただけましたか?

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 登録免許税とは
  • 不動産ごとの税額シミュレーション
  • 納付方法

不動産に関する登録免許税は、登記建物の種類ごと税率が異なるので、計算が複雑になります。

しかし事前にシミュレーションしておけば、納めなければならない税額を把握できるので安心です。

困ったことがあれば、弊所までお気軽にご相談ください!

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