
令和2年分から、年末調整書類の1つがリニューアルしたのをご存知ですか?
それが「基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書」です。
今までは配偶者控除等申告書として利用されていた書類に、基礎控除と所得金額調整控除も追加されました。
そこで今回は、年末調整の基本事項をおさらいしつつ、「基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書」の概要や記入方法について紹介します。
少しずつ確認していきましょう!
もくじ
そもそも年末調整ってなぜやるの?
まずは年末調整をする理由について、軽くおさらいです。
会社員の場合、毎月の給与からは概算で見積もった所得税が天引きされています。
年末調整を簡単に説明すると、ざっと見積もった所得税を1年間の給与が確定する年末に、正しい額になるよう計算して調整することです。
年末調整の対象者
次のいずれかに該当する場合は、年末調整の対象者です。
- 1年を通じて勤務している
…本年最後の給与の支給を受けたときに年末調整を行います。
- 年の中途で入社し、年末まで勤務している
…前職の源泉徴収票が必要になります。
- 年の中途で退職している
…中途退職の主なケースとして、死亡、心身障害、12月の給与支給後に退職、退職した人の給与総額が103万円以下の場合が挙げられます。
- 年の中途で海外転勤により、非居住者となった
…「非居住者」とは、1年以上国内に居所を有していない人のこと。非居住者になったタイミングで年末調整を実施します。
年末調整をしなくてもいい人
主に次のいずれかに該当する場合は、年末調整をしなくてもOKです。
- 給与収入2000万円超の人
…「1年を通じて勤務」「年の中途で入社して年末まで勤務」している人のうち、給与収入が2000万円を超える場合は、確定申告が必須です。
- 2ヶ所以上から給与を受取っている人(サブ会社の場合)
…「従たる給与」(メインではない会社からの給与)の場合も、確定申告になります。
年末調整を会計事務所に任せたほうがいい理由
何も知識がない状態で年末調整を自力で行うのは、至難の業。
たとえできたとしても、間違えたら税務署に何度も足を運ぶことになりかねません。
そんな事態を防ぐには、その道のプロである会計事務所に任せるというのも1つの手です。
ここからは年末調整を会計事務所に任せたほうがいい理由を、いくつかピックアップしていきます。
理由①:必要な書類とやるべきことが明確になる
会計事務所に頼んだからと言って、何でも丸投げできるわけではありません。
必要な書類を提出しないと年末調整ができないので、まずはその書類を揃えるところから始めます。
しかしどんな書類を提出すればいいのか、わからない人も多いでしょう。
そんなときに会計事務所に依頼してあれば、あなたの条件に合った必要書類を明示してもらえます。
ちなみに必要書類の一例は、次のとおりです。
- 保険料控除申告書
- 扶養控除申告書
- 基礎・配偶者・所得金額調整控除申告書
- 住宅ローン控除申告書(該当者のみ)
理由②:年末調整の時間を他のことに充てられる
煩雑な年末調整の作業時間も、会計事務所に任せれば大幅に時間をカットできます。
また書類の不備やミスを心配したり、税務署に何度も足を運ぶこともありません。
年末調整をする時間を別の作業に充てることで、生産性の向上に繋がります。
理由③:結果的にコスト削減に繋がる
会社の規模が大きくなって人数が増えるにつれて、年末調整にかかる時間も増えていきますよね。
自社で総務を雇って年末調整の作業を任せるという方法もありますが…
- 年末調整のためだけに雇う
- 会計事務所に任せる
上記の2つを比べると、明らかに会計事務所に頼んだほうがコストパフォーマンスが高くなります。
【新登場!】基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書とは?
年末調整に関する基本事項をおさらいしたところで、ここからは新登場の書類「基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書」について解説していきます。
書類名にもあるとおり、これは次の3つの書類を兼ねています。
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
【提出対象者】①:基礎控除申告書
基礎控除申告書は、ほぼ全員が記入するという認識で大丈夫です。
ただし例外として、提出者の本年中の合計所得金額が2500万円超の場合は、基礎控除の適用はありません。
【提出対象者】②:配偶者控除等申告書
提出者に配偶者がいる場合は、配偶者控除等申告書を用意しましょう。
所得金額により、配偶者控除か配偶者特別控除が適用されます。
- 配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみ103万円以下)…配偶者控除
- 配偶者の合計所得金額が133万円以下(給与収入のみ201.6万円未満)…配偶者特別控除
ただし「提出者本人の合計所得金額が1000万円超」もしくは「配偶者の合計所得金額が133万円超」の場合、適用はありません。
【提出対象者】③:所得金額調整控除申告書
所得金額調整控除申告書を利用するのは、下記2つの条件を満たした場合です。
- 提出者の収入金額が850万円超
- 「23歳未満の扶養親族がいる」もしくは、本人・同一生計配偶者・扶養親族が「特別障害者」
「特別障害者」の定義
特別障害者に該当するのは、次のいずれかに該当する場合です。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人
- 精神保健指定医などから重度の知的障害者と判定された人
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のうち、障害等級が1級の人
- 身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている人のうち、障害の程度が1級又は2級の人
- 戦傷病者手帳の交付を受けている人のうち、障害の程度が恩給法別表第1号表ノ2の特別項症から第三項症までの人
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定による厚生労働大臣の認定を受けている人
- 常に就床を要し、複雑な介護を要する人
- 精神又は身体に障害のある年齢65歳以上(昭和31年1月1日以前生)の人で、その障害の程度が①、②又は④に該当する人と同程度である人として市町村長、特別区の区長や福祉事務所長の認定を受けている人
【記入方法は?】基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書
ここからは実際の記入方法を確認していきましょう。
- A:基本情報
- B:給与所得者の基礎控除申告書
- C:給与所得者の配偶者控除等申告書
- D:所得金額調整控除申告書
A:基本情報
基本情報の記入欄は、次のとおり。
会社員の場合は、氏名と住所のみで済むことがほとんどです。
- 所轄税務署長
- 給与の支払者の名称(氏名)
- 給与の支払者の法人番号
- 給与の支払者の所在地(住所)
- あなたの氏名
- あなたの住所又は居所
B:給与所得者の基礎控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書の記入欄は、次のとおり。
- 給与所得の収入金額・所得金額
…収入金額は見積額を、所得金額は「給与収入ー給与所得控除(経費など)」の額を記入。
- 給与所得以外の所得の合計額
…副業や株・不動産による収入がある場合に記入。
- あなたと本年中の合計所得金額の見積額
- 判定・区分Ⅰ
- 基礎控除の額
C:給与所得者の配偶者控除等申告書
給与所得者の配偶者控除等申告書の記入欄は、次のとおり。
- 配偶者の氏名
- 配偶者の個人番号
- 配偶者の生年月日
- 配偶者の住所又は居所(※提出者と住所・居所が違う場合)
- 非居住者である配偶者
…海外に居住している場合はマルをつける。
- 生計を一にする事実
…(上記でマルを書いた場合)配偶者に対して本年中に送金した合計額を記入。
- 給与所得の収入金額・所得金額
- 給与所得以外の所得の合計額
- 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額
- 判定・区分Ⅱ
- 配偶者控除の額
- 配偶者特別控除の額
…記入するのは「配偶者控除の額」「配偶者特別控除の額」のどちらか片方のみ。
D:所得金額調整控除申告書
念のためもう一度確認ですが、年収850万円以下の方は、所得金額調整控除申告書を記入する必要ありません。
記入欄は、次のとおり。
- 要件
- 同一生計配偶者又は扶養親族の氏名
- (同一生計配偶者又は扶養親族の)個人番号
- (同一生計配偶者又は扶養親族の)生年月日
- (同一生計配偶者又は扶養親族の)住所又は居所(※提出者と住所・居所が違う場合)
…海外に居住している場合はマルをつける。
- (同一生計配偶者又は扶養親族の)あなたとの続柄
- (同一生計配偶者又は扶養親族の)合計所得金額(見積額)
…扶養親族の条件は、所得金額が48万円以下の場合です。
- 特別障害者に該当する事実
…障害者手帳の種類・交付日・障害の等級を記入。
まとめ
今回は年末調整の基本事項をおさえつつ、令和2年から登場した「基礎・配偶者・所得金額調整控除等申告書」について紹介しました。
- 自分はどの申告書が必要かわからない…
- 書類が不備なく書けているか不安
- 年末調整に関して質問したい!
そんな気持ちを少しでも抱えている場合は、いつでもスタートアップ会計事務所までご連絡ください!
あなたのお悩みを、一緒に解決していきましょう!
※年末調整に関する質問、なんでもお待ちしています♪