※本記事で扱う「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」令和2年度分の新規の申請の受付は、多数の申請があったため令和2年8月12日をもって終了しました。8月12日までに郵送等で申請された分については受理されます。詳細は、厚生労働省HP働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」にてご確認ください。

昨今、新しい働き方として注目されているテレワーク

テレワークを新規導入・継続すれば働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)に申し込めるのをご存知ですか?

助成金を申請して審査に通れば、コストの削減だけでなく、整った職場環境をアピールできるというメリットがあります。

テレワークコースに設定されているのは下記の2種類。

  • 一般用
  • 新型コロナウイルス感染症対策用

本記事では一般用のテレワークコースについて、令和2年度分の内容*を解説します。

今年度の申請受付はすでに終了していますが、次のチャンスに備えて概要を予習しておきましょう!

*…申請受付終了を受け、本記事では予定されていた期日の記載部分に取り消し線を引いています。現在は適用されない期日ですのでご注意ください。

テレワークコースの内容

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)とはどのような助成金なのでしょうか?

内容を以下の順で確認していきましょう。

  • 目的
  • 新しくなった点
  • 対象となる事業主

目的

働き方改革推進支援助成金は、令和2年度より「時間外労働等改善助成金」から名称変更された助成金です。

そのうちのテレワークコースでは、下記の3点を目的としています。

  • 時間外労働の制限
  • その他の労働時間等の設定の改善*
  • 仕事と生活の調和の推進

*…各事業場における労働時間などの規定を、労働者の生活・健康に配慮しながら多様な働き方に対応させ、より良いものにしていくことを指す。

これらの実現を目指して、在宅またはサテライトオフィス(=企業や団体の本社・本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのこと)でのテレワークに取り組む中小企業事業主に、テレワーク実施にかかった費用の一部が助成されます。

交付申請の受付期間は令和2年4月1日〜令和2年12月1日です(今年度の受付は終了)。

支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、受付の締め切りが早まる可能性があるので注意しましょう。

今年度は大幅に早まりました…。

 

新しくなった点

本助成金は令和2年5月1日に以下の見直しが行われ、制度内容が拡充されました。

  • 1人当たりの上限額および1企業当たりの上限額を倍増
  • 受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合も対象
  • 成果目標のうち、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる目標を廃止
内容 見直し前 見直し後
1人当たりの上限額 20万円 40万円
1企業当たりの上限額 150万円 300万円
対象労働者の規程 自社の社員のみ

受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合も対象*

*派遣元事業主が、その派遣労働者を対象として同時期に同一措置につき助成金を受給していない場合に限る。

*少なくとも対象労働者の1人は直接雇用する労働者であることが必要。

成果目標のうち、「労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる」の規程 含まれる 廃止

(参照:厚生労働省作成リーフレット「働き方改革推進支援助成金」のご案内(テレワークコース)

(参照:厚生労働省作成リーフレット「働き方改革推進支援助成金」のご案内(テレワークコース)(旧版)

対象となる事業主

支給の対象となるには、下記の3点をすべて満たす事業主であることが必要です。

  1. 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  2. 業種・資本・労働者の範囲条件を満たしていること
  3. テレワークを新規で導入・または継続して活用する事業主であること

①:労働者災害補償保険の適用事業主であること

労働者災害補償保険(労災保険)とは、労働者が業務上・通勤上の災害により負傷したり、死亡した場合に、労働者やその遺族のために必要な保険給付を行う制度です。

労働者を1人でも使用する事業*は、適用事業として労災保険法の適用を受けることになり、保険料を納付しなければなりません。

労災保険料を適切に納めている適用事業主が、本助成金の対象となります。

*…個人経営の農業・水産業で労働者数5人未満の場合等は除く。

②:業種・資本・労働者の範囲条件を満たしていること

次の表のいずれかに該当する事業主であることが必要です。

業種 資本・出資額 常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

(参照:厚生労働省HP「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」

③:テレワークを新規で導入・または継続して活用する事業主であること

テレワークに関して、以下のように取り組んでいる事業主が対象となります。

  • テレワークを新規で導入する事業主であること(試行的に導入している事業主も対象)
  • テレワークを継続して活用する事業主であること*

    *…過去に本助成金を受給した事業主は、対象労働者を2倍に増加してテレワークに取り組む場合に、2回まで受給が可能。

    支給対象となる取り組み

    本助成金では、テレワークの導入・実施に関する取り組みにかかった費用が助成されます。

    以下の取り組みから1つ以上を選び、実施しましょう。

    1. テレワーク用通信機器の導入・運用
    2. 就業規則・労使協定等の作成・変更
    3. 労務管理対象者に対する研修
    4. 労働者に対する研修・周知・啓発
    5. 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

    ここでは実施時に注意が必要なテレワーク用通信機器の導入・運用について、解説していきます。

    ②~⑤については、弊所までご相談ください♪

    ①:テレワーク用通信機器の導入・運用

    テレワークに関連する機器の導入や運用は、支給対象になります。

    具体的には次の通りです。

    • シンクライアント端末(パソコン等)
    • VPN装置* ・Web会議用機器
    • 社内のパソコンを遠隔操作するための機器やソフトウェア
    • 保守サポートの導入
    • クラウドサービスの導入
    • サテライトオフィス等の利用料

    *…「Virtual Private Network」の略称で、セキュリティに強い通信環境を整えるための仮想専用回線のこと。

    シンクライアント以外のパソコン・タブレット・スマートフォンの購入費用は対象にならないので、十分注意しましょう。

    かかった費用が分かる領収書などは、交付・支給申請時に必要になるので保管するようにしてください。

    シンクライアントとは?

    シンクライアントとは、ユーザーが使用する端末(クライアント端末)の機能は必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行う仕組みのことです。

    クライアント端末ではサーバで処理された結果のみを閲覧でき、データを一切保持しないため、情報漏えい対策の手段として注目されています。

    本助成金への申請を見込んで機器を導入する際には、シンクライアント端末かどうかをメーカーのHPなどでよく確認するようにしてください。

    成果目標と評価期間

    本助成金では、助成にあたって達成すべき成果目標評価期間が設けられています。

    評価期間内に成果目標を達成できるかどうかは、助成額の決定に関わる重要な部分です。

    より多くの助成金を受け取るためにも、目標の達成を目指しましょう。

    成果目標

    本助成金の支給対象となる取り組みを実施する際に、評価期間内で以下2点の成果目標を両方達成することを目指しましょう。

    1. 対象労働者全員に1回以上、テレワークを実施させる。
    2. 対象労働者がテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする。

    成果目標の達成状況を確認するには、Excel形式の集計表*の利用が便利です。

    集計表は支給申請時に必要になるので、書類として整えておきましょう。

    *…クリックするとダウンロードが始まります。

    評価期間

    成果目標を達成できたかどうかは、事業実施期間(交付決定の日から令和3年2月15日まで)の間の、1ヶ月から6ヶ月の期間で設定する評価期間で判断します。

    評価期間は申請者が事業実施計画を作成する際に、自ら設定することが可能です。

    目標達成できるような評価期間を設定しよう!

    助成額

    本助成金は支給対象となる取り組みの実施にかかった費用のうち、対象経費に該当する金額に対して助成されます。

    助成額は成果目標の達成状況によって決まるので、状況ごとの助成額を把握しておくことが重要です。

    助成額について、次の流れで確認していきましょう。

    • 目標達成状況ごとの補助率・上限額
    • 対象経費
    • 助成額の計算方法

    目標達成状況ごとの補助率・上限額

    評価期間内に目標を達成できるかどうかで、助成額の補助率・上限額は下記のように変わります。

    成果目標の達成状況 達成 未達成
    補助率 3/4 1/2
    1人当たりの上限額 40万円 20万円
    1企業当たりの上限額 300万円 200万円

    より多くの助成額を受給できるように、目標の達成を目指しましょう。

    対象経費

    本助成金の対象になる経費は、下記に該当するものです。

    対象経費 備考
    謝金 テレワークの導入に関する専門家への相談費用費用など 契約形態が、リース契約・ライセンス契約・サービス利用契約などで評価期間を超える契約の場合は、評価期間にかかる経費のみが対象となる。
    旅費 事業で必要になった電車・バス・タクシー代・宿泊費用など
    借損料 会議会場使用料や事務機器のリース料など
    会議費 会議用のお茶・お菓子・弁当代など
    雑役務費 事務作業にかかった費用など
    印刷製本費 印刷や製本を、外部の業者に依頼した場合に支払う費用
    備品費 少額(10万円以上20万円未満)であり、耐用年数が1年以上の物品の購入に係る費用
    機械装置等購入費 テレワーク用通信機器の購入費など
    委託費 テレワーク用通信機器の設置・設定費など

    (参照:厚生労働省作成リーフレット「働き方改革推進支援助成金」のご案内(テレワークコース)

    助成額の計算方法

    助成額は、対象経費の合計額×補助率で求めることができます。

    助成額 備考
    対象経費の合計額×補助率

    助成額が上限額を超える場合は、下記いずれか低い方の額となる。

    • 1人当たりの上限額×対象労働者数
    • 1企業当たりの上限額
    【具体例】

    <ある企業で400万円のテレワーク用機器を導入し、対象労働者が10人の場合>

    • 成果目標達成の場合 →400万円×3/4=300万円を助成
    • 成果目標未達成の場合 → 400万円×1/2=200万円を助成

    申請手続きの流れ

    本助成金を申請する際に、会社側が行う手続きの流れは次の3ステップです。

    1. 交付申請
    2. 事業実施および評価期間
    3. 支給申請

    ①:交付申請

    テレワーク相談センターに、事業計画書を添付した交付申請書を提出します。

    交付申請時の必要書類は、こちらからダウンロード*が可能です。

    *…クリックするとダウンロードが始まります。

    交付申請時の必要書類一覧

    交付申請時に必要な書類は8点です。

    書類は下記の番号順に整えて提出するようにしましょう。

    番号 書類名 部数 備考

    交付申請書(様式第1号)

    原本1部

    事業実施計画(様式第1号別添)

    原本1部

    登記事項証明書等(3ヶ月以内に取得したもの)等

    1部

    事業主住所、代表者職・氏名等を確認できる書類。

    対象労働者同意書(様式第1号別紙)

    原本1部

    労働者災害補償保険の適用事業主であることを確認するための書類*(「労働保険関係成立届」または直近の「労働保険概算保険料申告書」。)

    *…労働保険事務組合委託事業主の場合は「労働保険関係成立届(事務処理委託届)」 または直近の「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」

    写し1部

    中小企業事業主であることを確認するための書類(資本金の額または出資の総額や常時使用する労働者の数が確認できる書類)

    写し1部

    ③登記事項証明書等や⑤労働保険概算保 険料申告書等で確認できる場合は省略可。

    見積書(事業を実施するために必要な経費の算出根拠が分かる資料)

    写し1部

    ①見積書は、金額が適正な水準のものか 確認する必要があるため、複数提出すること*。

    *…複数提出できない場合は、金額が適正な水準であることが確認できる資料を提出すること。なお、専門家謝金などの人件費が1回あたり1万2000円以下の場合は、相見積は不要。

    ②採用する見積書の右上に【資料a】、相見積書の右上に【資料b】と付けること*。

    *…複数の製品・サービスについて申請する場合には、製品・サービス毎に番号(資料1-a、資料1-b、資料2-a、資料2-b等)を付けること。

    直近2年度の労働保険料の納付・領収証書

    写し1部

    (参照:厚生労働省HP「働き方改革推進支援助成金 (テレワークコース)申請マニュアル」

     

    交付申請書の提出は令和2年12月1日までとなっていますが、早めに締め切られる可能性があるので余裕を持って提出しましょう。

    毎年、申請はお早めに〜

     

    ②:事業実施および評価期間

    交付申請後、厚生労働省から交付・不交付の決定通知が届きます。

    交付の通知を受け取ったら、下記の取り組みを実際に行いましょう。

    • 事業の実施(機器の購入・研修の実施など)
    • テレワークの実施(評価期間1~6ヶ月間)

    ③:支給申請

    支給申請書をテレワーク相談センターに提出します(受付期限令和3年3月1日)。

    支給申請時の必要書類は、交付申請と同様にこちらからダウンロード*が可能です。

    *…クリックするとダウンロードが始まります。

    支給申請時の必要書類一覧

    支給申請時の必要書類は、下記の11点です。

    番号順に整えて提出しましょう。

    番号 書類名 部数 備考

    支給申請書(様式第10号)

    原本1部

    国や地方公共団体からの他の補助金を受けている場合、他の補助金の助成内容が分かる資料(他の補助金の申請書・交付決定通知書および説明文書など)

    写し1部

    ・該当する場合のみ提出。

    ・資料右上に【資料B】と付けること。

    事業実施結果報告書(様式第11号)

    原本1部

    労使の話し合いの機会が客観的に行われたことを示す資料 (役職を記載した参加者名簿、議事次第など)

    写し1部

    資料右上【資料1】 と付けること*。

    労働時間等に関する意見を受け付ける担当者の選任が、どのように周知されたかを客観的に示す資料(メール・社内報・周知文書の写しなど)

    写し1部

    資料右上に【資料2】 と付けること*。

    労働者に対する事業実施計画について、いつどのように周知されたかを客観的に示す資料(周知文書の写しなど)

    写し1部

    資料右上に【資料3】と付けること*。

    費用を支出したことが確認できる書類(領収書など)

    写し1部

    資料右上に【資料4】と付けること*。

    事業を実施したことを客観的に示す資料(改訂後の就業規則・研修資料など)

    写し1部

    資料右上に【資料5】と付けること*。

    テレワークの実施を申請する日の業務時間に、就業していたことを証明する資料(タイムカード・出勤簿など)

    写し1部

    資料右上に【資料6】と付けること*。

    テレワークの実施状況、成果目標の達成状況を示す集計表

    1部

    資料右上に【資料7】と付けること*。

    テレワークの実施を申請する日の業務時間に、就業していた場所を証明する資料(位置情報を記録できる機器のログ情報など)

    写し1部

    ・資料右上に【資料8】と付けること*。

    ・始業・終業メール等を添付する場合、対象労働者1人につき少なくとも1日分は添付すること。

    ・テレワークの際には始業・終業メールを労働者から労務管理者宛てに送ることとし、証拠として保管しておくこと。

    *…資料が複数種類に及ぶ場合は「1-①」等、枝番号を付けること。

    (参照 : 厚生労働省HP「働き方改革推進支援助成金 (テレワークコース)申請マニュアル」

    詳細は厚生労働省HP「働き方改革推進支援助成金 (テレワークコース)申請マニュアル」でご確認ください。

    支給申請書は、評価期間終了日から1ヶ月以内または3月1日いずれか早い日までに提出してください。

    その後、厚生労働省より支給・不支給の決定通知が届き、支給決定の場合は助成金を受け取ることができます。

    テレワークコースを申請して、柔軟に働ける会社へ!

    働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)について、下記の順に解説してきました。

    • テレワークコースの内容
    • 支給対象となる取り組み
    • 成果目標と評価期間
    • 助成額
    • 申請手続きの流れ

    さまざまなコストが懸念されるテレワークですが、助成金があればスムーズに導入できます。

    次の機会に余裕をもって申請するために、少しずつ準備を始めてみませんか?

    テレワークに関する社内ルールづくりなど、弊所がお手伝いします。

    柔軟な働き方ができる会社を目指して、できることから取り組んでいきましょう!

    ※次の申請に向けて、本記事でしっかり予習しておきましょう♪

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