創業融資は個人事業主も受けられる!利用するメリットや流れを解説

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個人事業主として新規事業を検討している

という場合、業務を効率よく回すための開業資金があると、大きなサポートになります。

この時、活用すると便利なのが、日本政策金融公庫の新創業融資制度です

今回は、個人事業主が資金調達の手段として、新創業融資制度を利用する場合の方法や注意点を解説いたします。

目次

新創業融資制度とは

新創業融資制度は日本政策金融公庫が取り扱う、新たに事業を始める人のための融資制度です

  • 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
  • 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方

これらの条件をクリアしている個人事業主は、新創業融資制度の対象となります。

融資限度額は3,000万円、運転資金として使用する場合は1,500万円が上限です
実際の金額は、担当者と面談の上、決定されます。

審査に落ちる場合もあるため、綿密な準備が必要です。
原則無担保、無保証人で利用できるため、個人事業主にも活用しやすい制度となっています

税務申告の考え方

税務申告の1期、2期は、個人事業主の場合、12月31日を指します

開業届を提出してから1回目の12月31日が1期の終わり、2回目の12月31日が2期の終わりとなります。

創業資金総額の考え方

創業資金総額は、事業に使用する予定の資金を指します

事業開始前、もしくは1期を迎える前の場合、予定資金総額の10分の1以上を他からの借入や親からの贈与などではなく、自分で用意した上で申請しましょう

個人事業主には新創業融資制度がおすすめ

個人事業主が開業時に利用できる融資制度は、新創業融資制度以外にもあります。
ですが、資金調達を検討するなら、まずは新創業融資制度からはじめるのが良いと言われています

業務実績のない個人事業主は、先行きが見通せません
返済能力があるのかどうか、事業を軌道に乗せられるのかどうか、という部分で不安があり、銀行や信用金庫といった金融機関からの借入は、断られるケースがほとんどです。

以前から金融機関と長い付き合いがある、という場合は別ですが、借入先が決まっていない場合は審査に通りやすい新創業融資制度の活用を検討してみましょう

新創業融資制度を取り扱っている日本政策金融公庫は、銀行からの融資が難しい創業したばかりの個人事業主、中小企業のためのサービスです。政府が100%出資している制度ですので、事業運営へ上手に活用してみてください。

新創業融資制度を活用するメリット3つ

新創業融資制度を活用すると、個人事業主に嬉しいメリットが待っています

資金調達に、なぜ新創業融資制度を選ぶべきなのか、理由をくわしくみてみましょう。

メリット1:無担保・無保証人で利用できる

個人事業主として創業する場合、担保や保証人を用意するのが難しいケースが少なくありません。担保や保証人なしでも開業運転資金を手に入れたい、という場合は、無担保・無保証人で申請できる新創業融資制度が役に立ちます

担保がある、保証人になってくれる人がいる、という場合は、より低金利で融資を受けられます。無担保、無保証人でも利用できる制度ですが、金利を下げたい場合は担保や保証人の用意を検討してみましょう。

メリット2:融資限度額が高い

融資を受ける場合、個人事業主が借りられる金額には限度があります。
その中でも、新創業融資制度は最大融資額が3,000万円と高額に設定されているため、幅広く活用できます

上限は高めですが、誰もが限度額を借りられる訳ではありません
事業計画書の内容や自己資金額などによって決定されるため、審査をクリアするために、入念な事前準備が欠かせません。

新創業融資制度では、最大で自己資金金額の9倍まで融資を受けられることになっていますが、実際には自己資金の2~5倍程度になるケースが多いと言われています

1000万円の融資を受けたい場合は、200~500万円程度の自己資金を用意する、など、必要な融資金額に応じた自己資金を用意しておきましょう。

メリット3:融資実行までがスピーディ

新創業融資制度は書類に不備などがない場合、申し込みから融資実行まで、1ヶ月~1ヶ月半程度で完了します。創業を控え、テンポ良く開業準備を進めたい個人事業主にとって、嬉しい制度になっています。

すでに創業の計画ができていて、あとは資金を得て進めていくだけ、という場合は、新創業融資制度が向いています。

個人事業主が新創業融資制度を利用する条件

個人事業主が新創業融資制度を利用する場合、融資条件に加え、2つの条件をクリアしている必要があります

これから事業をはじめる場合は、忘れずに条件を達成しておきましょう。

開業届を出している

個人での仕事は、開業届を出さなくてもスタートできます。
ですが新創業融資制度を利用するなら、税務署開業届を出しておきましょう

罰則などはありませんが、開業届を出している個人事業主、出していない個人事業主では、信頼度が大きく変わります。

開業届を出してから、税務申告2期までが新創業融資制度の対象となるため、創業後の利用を検討している場合は、早く出し過ぎないように注意してください

確定申告をしている

新創業融資制度は、開業する前でも申請できます。
そのため、かならず確定申告している必要はありませんが、創業後の税務申告1期を過ぎてから申請する場合は、確定申告の資料が必要です

1期目でどのような売上があったのか、黒字運営できているのか、といった部分を審査の上、融資の可否や融資額が決定されます。

確定申告と納税を間違いなく済ませ、速やかな資金調達につなげましょう。

個人事業主が新創業融資の審査を通過する方法

個人事業主が新創業融資の審査を通過するために、用意するべき資金資料があります

必要な開業資金を借入れられるように、審査通過の可能性を高めるコツを知っておきましょう。

1.担当者にPRするための資料作成

新創業融資制度の審査を通過するなら、できるだけたくさんの資料を用意しておきましょう。中でも、事業をどのように進めていくのか、業務について書かれた創業計画書の質は審査結果を左右します

これからどのような準備を行い、どのように集客するのか、サービスや商品を認知して貰うのかなど、説得力あふれる内容が求められます。

なぜ資金が必要なのか、何に利用するのか、どのようにして返済するのか、できるだけくわしく記載してください

人脈やサラリーマンとしての実績や経験、所持している資格やスキル、といった部分も大きなアピールポイントになります。

質の高い創業計画書を作るのが難しい、という場合は、多くの審査通過実績を持つ、専門家の手を借りるという手段もあります

2.自己資金を準備できている

新創業融資制度を利用するには、自己資金が必要です
自己資金が足りない場合、必要な融資が受けられず、開業準備が滞ってしまいます。

創業を決めたら、まずは融資を受けたい額の1/3を目安に資金を用意した上で、融資申し込みにうつりましょう

資金の準備は、半年以上の期間をかけると安心です。
融資担当者は個人事業主の通帳をチェックするため、急に入金されたお金では信用を得にくくなります。

毎月○万円ずつ、など、堅実に資金を貯めている様子をPRしてください。

税金や水光熱費、ローンをきちんと支払っている

新創業融資制度の審査では、個人事業主の支払い能力がチェックされます

クレジットやローンなどの信用情報を確認されるだけでなく、税金や水光熱費、家賃の引き落とし状況や領収書の提出が必要になるため、滞納しないように注意しましょう。

新創業融資を利用する5つのステップ

新創業融資制度を利用する前に、どのような順序で審査が進んでいくのか、知っておくと安心です。

個人事業主融資~審査結果を受けるまでの流れをみてみましょう

1.融資の相談をする

まずは近くにある日本政策金融公庫の支店で、融資についての相談をします
事業を行っている管轄の支店を選んで、融資を受けたい旨を伝えてください。

電話相談もできますが、必要な書類を受け取る必要があるため、直接足を運ぶのがおすすめです。融資対象外の業種もあるため、あわせて確認しておきましょう。

その他、新創業融資制度について分からないことがあれば、支店スタッフに相談しておくと安心です。

支店の様子を事前にチェックできるため、融資面談の雰囲気をつかめる点もメリットです。

2.書類を提出する

必要な資金、書類が揃ったら、日本政策金融公庫の支店で申し込みをします

自宅から支店が遠い、忙しくて時間がないという場合は、郵送でも問題ありません。

書類に不備がないかどうか不安な場合は、直接持ち込みましょう。

3.担当者と面談

書類の受付が完了すると、面談通知が送付されます
時間、必要な書類を確認の上、審査面談に挑みましょう。

個人事業主のため、企業案内やパンフレットといった資料は必須ではありませんが、名刺や事業について分かる資料があればかならず持参してください

服装の指定もありませんが、ビジネスの場であることをわきまえて、スーツなどのビジネス感、清潔感のある衣服を選ぶと、信頼を得やすいでしょう

面談では事業について、深い部分まで質問されるケースがほとんどです。
どのような質問が来るのか、それに対してどう回答するべきか、事前に練習しておくとスムーズに進行できます。

どのような質問が多いのか、実際に融資を受けた個人事業主のブログを読んだり、直接アドバイスを受けたりするのも、良い方法です。

計画だけでなく、事業に対する熱意や思いをしっかり伝え、審査通過を目指しましょう

4.事業所の確認

面談の後、審査担当者が事業所を訪問します

店舗や事業所、自宅など、個人事業主として事業を行う予定の場所、すでに事業を行っている場所を訪問するため、用意できる設備などがあれば整えておきましょう。

5.審査結果の連絡

面談、事業所確認からおよそ1週間程度で、審査結果が郵送されます
融資の申し込みが多い時期の場合は、時間がかかる場合もあるため、急いでいる場合は目安の時期を聞いておきましょう。

審査に通過した場合は、借用証書や預金口座利用届などの書類準備に移ります。
担保が保証人を用意する場合は、担保設定登記などの手続きが必要です。

契約手続きが終わったら、早ければ1週間程度で融資実行されます
借入れした資金を元に、事業計画を進めていきましょう。

新創業融資制度の審査に落ちてしまったら?

新創業融資制度の審査に落ちてしまったら、その後半年は再チャレンジができません
まずは落ちてしまった原因を探り、半年後に向けて改善を図りましょう。

何が理由で審査が通らなかったのか、日本政策金融公庫の担当者からは伝えられません

  • 自己資金が足りなかったのか
  • 信用情報に問題があったのか
  • 創業計画書に実現が難しい部分がなかったか
  • 担当者を納得させる経験や実績を提示できていたか
  • 用意した自己資金の動きが不明瞭ではなかったか
  • 面談での質問に正しく答えられたかどうか

など、申請から結果までの間を振り返ってみてください。

中には、複数の理由で審査に落ちている場合もあります。

融資不可の理由は、日本政策金融公庫に残ります
そのため、明らかに改善できていない場合、また同じ結果になってしまうでしょう。

自己資産を増やす、経験や実績を積む、面談の練習をしておく、など、必要に応じた方法で、次回の通過を目指してください。

まとめ

個人事業主も、法人と同じように新創業融資制度を利用できます
自己資産の用意や説得力あふれる計画書作成など、事前にできる準備を済ませた上で、審査に臨みましょう。

開業から2回目の12月31日を迎えてしまうと、融資対象から外れてしまうため、

「秋冬に開業した後、新創業融資制度の利用を検討している」

という場合は、申し込み期限に注意してください。

個人事業主の創業を応援してくれる政府出資の制度で、必要な設備資金、運転資金を手に入れましょう

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