
所有している不動産は、管理会社を設立して法人化したほうが節税になります。
「とくに活用しないまま税金だけ払っている不動産がある…」
「持っている不動産の税負担が大きい…」
そんな方は、思い切って不動産を管理する会社を設立してみませんか?
本記事では、法人化することで利用できる節税ポイントと注意点をあわせて紹介していきます。
賢く節税して、毎回の高額な税負担とおさらばしちゃいましょう。
もくじ
なぜ会社設立をすると節税につながるのか?
法人化すると節税になる理由は、所得の区分が変わるからです。
- 法人化する前…不動産所得 or 事業所得
- 法人化した後…給与所得
法人化しなければ所得税の区分は不動産所得か事業所得に当てはまります。
しかし不動産管理会社を設立して、会社からの給与という形にすれば給与所得となり、給与所得控除が使えるようになります。
さらに給与なら家族にも支払うことができるので、累進課税される所得税においてはもっと節税することが可能です。
以下の項で節税ポイントを紹介していきます。
不動産管理会社の設立における節税ポイント3選!
不動産管理会社を設立したときの節税ポイントは以下3つです。
- 給与所得控除が使える
- 給与を家族に支払うことで課税対象額の分散ができる
- 定期保険や医療保険を法人として加入する
ポイント①:給与所得控除が使える
法人化して不動産から得る収入を給与として受け取ると、給与所得控除が使えるので、節税になります。
気になる控除額は、下表よりご確認ください。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
~180万円 | 収入金額×40%(65万円未満の場合は65万円) |
~360万円 | 収入金額×30%+18万円 |
~660万円 | 収入金額×20%+54万円 |
~1000万円 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超 | 220万円(上限) |
給与所得控除を使った場合 VS そのまま所得税を払った場合
実際に以下2つの税額の差はどのくらいあるのか、例とともに検証していきます。
- 法人化して給与所得控除を使った場合の所得税額
- そのまま不動産所得(もしくは事業所得)として払った場合の所得税額
給与所得控除を使った場合、収入が800万円だと控除額(上記の表参照)は収入金額×10%+120万円なので、
800万円×10%+120万円=200万円←控除額
800万円ー200万円=600万円
600万円を所得税額とすると、税率(下表参照)は20%です。
600万円×20%(所得税率)ー42万7500円=77万2500円←所得税額
一方、法人化しない場合は・・・
800万円×23%(所得税率)ー63万6000円=120万4000円
給与所得控除を使った場合と使わない場合の税額の差は約43万円。
法人化したほうが節税に繋がるのは、一目瞭然ですね。
ポイント②:給与を家族に支払うことで課税対象額の分散ができる
法人化して家族を従業員にすれば、家族に給与を支払うという形にできるので、課税対象額を減らすことが可能です。
ポイント③:定期保険や医療保険を法人として加入する
定期保険や医療保険を法人として加入すれば保険料は損金(≒所得税における経費)として計上できるので、法人税の削減が可能です。
保険には
- 全額損金
- 1/2損金
- 1/3損金
もあります。
法人税を節税するという意味では全額損金の保険が一番おトクですが、返戻率(=解約時に戻ってくる金額の割合)も見落とせません。
保険にはそれぞれ異なる返戻率が設定されているかつ、返戻率が最高になるピーク時期もそれぞれ異なります。
保険には加入してから経過年数に応じて、解約時の返戻率が毎年変動します。
一例として全額損金にできるA社の返戻率を見ていきましょう。
上記の表を見ると返戻率のピーク時期は8年後に訪れますが、もし45歳で加入してピーク時期に返戻金を受け取るとなると、あなたはまだ53歳です。
そのタイミングで解約して返戻金を受け取っても、退職金にはできません。
せっかくお金を受け取っても使い道がないままだと、余計な税金がさらにかかってしまい本末転倒です。
事業継承する際の資金にするという手段もありますが、ピーク時期でも返戻率が90%未満で、以降はどんどん割合が減ってしまいます。
一方、1/3損金のB社の返戻率は下表のとおりです。
B社は法人税の節税という面では1/3しか損金として計上できませんが、全額損金できる保険と比べると返戻率が高く設定されています。
ピーク時期も20年目のため45歳から加入すれば、ちょうど定年のタイミングで退職金という形で返戻金を受け取ることが可能です。
このように安易に全額損金の一択に絞らず、返戻率なども加味したうえで加入する保険を決めていきましょう。
不動産の管理会社を設立する際に注意すべき費用
所有している不動産は、管理会社を設立して法人化したほうが節税できますが、その分新たにかかる費用も発生してきます。
用意するべき主な費用は以下3点です。
- 法人の設立費用
- 法人住民税の均等割(赤字でも最低7万円は必須)
- 税理士に依頼する際の費用
①:法人の設立費用
法人化はタダではできないので、設立費用は用意しておかなければなりません。
一般的に株式会社を設立するときにかかる諸費用は、20万円前後です。
司法書士に依頼する場合の会社設立方法は、以下の記事を参考にしてみてください。
②:法人住民税の均等割額(赤字でも最低7万円は必要)
地方税の1つである法人住民税は均等割で支払うため、東京都の場合は赤字だとしても最低7万円は必須です。
均等割の金額は資本金の額と従業員の人数によって変動します(下表参照)。
最低でも7万円はかかりますが、月額ではなく年額なので、業績がいいときにキープしておくのも1つの手ですね。
資本金の額 | 税額 | 税額(従業員50名超の場合) |
---|---|---|
~1千万円 | 7万円 | 14万円 |
~1億円 | 18万円 | 20万円 |
~10億円 | 29万円 | 53万円 |
③:税理士に依頼する際の費用
節税目的で法人化するなら、税理士の力も必要になってきます。
もちろん自力でやり抜くことも可能ですが、多少の費用を払ってもその道のプロに相談したほうが、より効果的な節税方法を提示してくれるでしょう。
具体的な節税方法やシミュレーションは、コチラをチェックしてみてください。
数ある節税ポイントを駆使して、ムダな出費をカットしていこう!
ここまで所有している不動産を法人化して節税する方法と、かかる費用を紹介してきました。
最後にまとめると、会社設立することで節税に繋がる主なポイントは3つです。
- 給与所得控除が使える
- 給与を家族に支払うことで課税対象額の分散ができる
- 法人化しないと利用できない節税対策ができる
会社を設立する際に用意するべき主な費用は・・・
- 法人の設立費用
- 法人住民税の均等割額
- 税理士に依頼する際の費用
最低でも上記の費用をまかなえる額は用意しておきましょう。
数ある節税策を効果的に利用して、ムダな出費はどんどんカットしていってくださいね。
※くまなく節税するために、今すぐ税理士に相談を!