
登記申請は、会社を設立するための最後の手続きです。
この手続きを終えると、法務局の登記簿上、会社は設立されたことになります。
「登記申請」を調べてみると、以下のように様々な登記申請があり、困惑されるかもしれません。
- 商業・法人登記
- 不動産登記
- 相続登記
今回は会社設立時に行う「商業・法人登記申請」にスポットを当てて、以下の順で説明していきます。
- 法人の登記申請とは?
- 登記申請の手続き方法
- 登記申請の必要書類と記載例
- 登記申請にまつわる疑問
書類や手続きの不備のせいで登記申請が滞らないように、最後まで気を抜かずにいきましょう!
もくじ
【法人】登記申請とは
商業・法人登記申請とは、法務局が情報を集約している登記簿に、取引に必要な会社情報を記載するための手続きのこと。
そして登記申請は、取引の安全性を保ち、円滑化を図るために必要です。
登記申請をした会社情報は、誰でも法務局を通して確認できるため、取引を行う際の判断材料になります。
取引を行う前に取引相手の会社情報を見て、信頼できる会社かどうか確認しないと、安心して取引できませんよね。
こんな場合に登記申請が必要です。
法人登記申請を「会社設立時の手続き」だと思っている方も少なくありません。
しかし実際には、会社設立時以外にも法人登記申請を行う必要があります。
会社設立後、登記すべき期間(登記期間)を過ぎてしまうと、過料が請求されることもあります。
期限内に登記することが原則ですが、万が一期限が過ぎたとしても、登記申請できるので必ず行いましょう。
登記申請が必要なケース
期限までに登記申請するには、登記申請が必要になるケースを知っておく必要があります。
必要なケース | 登記申請種類 |
---|---|
新たに役員が就任 役員の氏名等が変更など | 株式会社役員変更登記申請 |
商号変更 公告方法変更 目的変更 吸収合併 資本金額の減少など | 株式会社変更登記申請 |
株式会社から持分会社へ組織変更 | 株式会社の組織変更の登記申請 |
新設合併 | 合併による株式会社設立登記申請 |
合併により解散 | 合併による株式会社解散登記申請 |
本店が移転 | 株式会社本店移転登記申請 |
会社が解散 清算人選出 | 株式会社解散及び清算人選任登記申請 |
会社が消滅 | 株式会社清算結了登記申請 |
解散後に会社を継続 | 株式会社継続登記申請 |
支店設置 | 株式会社支店設置登記申請 |
このように「登記申請を行っている会社情報に変更があった場合は再度必要」など、念頭においておきましょう。
登記申請が必要な変更かどうか分からないときは、専門家(税理士・司法書士)に相談することをオススメします。
【法人】登記申請の手続き方法は3種類!
登記内容により、登記申請に必要な書類や登録免許税の金額は異なります。
しかし実際に申請する手続き方法は同じです。
以下の3つのうち、いずれかを選んで申請しましょう。
- 法務局へ行く
- 必要書類を郵送する
- オンラインで申請を行う
ちなみにどの方法を選ぶにしても、提出先はあなたの会社の本店所在地を管轄する法務局です。
事前に法務局のHPにて、確認しておきましょう。
提出前に最終チェックしてほしい点も紹介しているので、ぜひご確認ください。
①:法務局へ行く
1つ目の方法は、直接法務局で行う方法です。
登記に必要な書類とデータを法務局に持参し、「商業登記(法人登記、会社登記)」の窓口に提出します。
窓口にはその書類一式を入れるボックスもありますが、職員の方に書類の不備等を確認してもらった方がいいでしょう。
法務局から登記完了の連絡は来ないので、その時に登記完了予定日も確認しておくと安心です。
法務局へ行く場合、必要書類を提出した日が会社の設立日になります。
そのため会社を設立する日は、祝祭日、年末年始休暇を除く平日で検討しておくといいでしょう。
また1日を避けて2日以降で考えておくと、法人住民税の支払額が異なるため節税にも繋がります。
②:必要書類を郵送する
2つ目は、登記の必要書類を郵送する方法です。
あなたの会社の本店所在地を管轄する法務局宛に、必要な書類一式を送ります。
その際には「登記申請書在中」と封筒に書き、なるべく書留など配達状況が確認できる方法で送った方がいいでしょう。
1つ目と同様に登記完了の連絡は来ないので、インターネットで登記完了予定日を調べておく必要があります。
法務局のHPにおいて、その登記を申請した場所ごとに登記完了予定日の確認が可能です。
郵送の場合は、その書類一式が法務局に届いた日が会社の設立日になります。
そのため会社設立日を指定したいときは、配達日指定郵便を選択して送りましょう。
③:オンラインで申請を行う
3つ目はオンラインで申請を行う方法です。
オンラインで申請を行う場合、以下のような手続きが必要になります。
- 専用ソフトをダウンロードし、パソコン環境を整える
- 電子証明書の取得
- 印鑑届出書・代表者の個人の印鑑証明書を提出
登記後に不備等を修正する場合は、オンラインが一番便利かつ迅速に行うことが可能です。
詳細をご覧になりたい方は、法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」をご覧ください。
不備を防ぐための最終チェック!
手続き方法を確認した上で、小さな不備を減らすための最終チェックを行っていきましょう。
- 会社名を省略していない(㈱ではなく、株式会社)
- 住所をハイフンで書いていない(1-1-1ではなく、1丁目1番地1号)
- 書類や定款での数字の振り方を統一している(定款では(1)、他の書類では1ではなく、どちらでも(1))
- 押印・契印を忘れていない
- 目的が明確かつ適法である
- 代表者が申請を行うことになっている
「捨印」とは申請書を作成するときに、書類の欄外に押印することです。
この欄外への押印は、提出先に対して「訂正して構いません。」という意思表示をしていることになります。
つまり捨印が押されている書類に修正可能な不備があった場合、法務局職員の方が修正してくれるでしょう。
ちなみに捨印を押す場所として一般的なのは、ページ上段や左の余白などです。
【法人】登記申請の必要書類と記載例
商業・法人登記申請の主な必要書類は下記3点です。
- 株式会社設立登記申請書
- 収入印紙貼付台紙
- 印鑑届書
それぞれ記載例を確認していきましょう!
(詳細は、法務局HP「商業・法人登記の申請書様式」でご確認ください)
① 株式会社設立登記申請書
(画像引用元:法務局HP「商業・法人登記の申請書様式」)
記載する際は、下記のポイントに注意してください。
- 商号…定款通りに記載するが、フリガナには株式会社など法人の種類は省略して記載する
- 本店…都道府県から番地まで省略せず、ハイフンを用いながら○○番○○号のように正確に記載する
- 登記の事由…「令和○年○月○日発起設立の手続終了」と記載する
② 収入印紙貼付台紙
(画像引用元:法務局HP「商業・法人登記の申請書様式」)
登記免許税を納付するために、収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼り付けます。
- 収入印紙は右側に寄せて貼り付け、消印しないようにする
- 登記申請書と収入印紙貼付台紙をホチキスでとめ、ページの綴り目に法人実印(代表者印)で契印する
③ 印鑑届書
(画像引用元:法務局HP「商業・法人登記の申請書様式」)
他の書類と一緒に、印鑑届書も提出します。
- 商号や本店の住所などは、設立登記申請書や定款と相違なく書く
- 資格の部分は代表取締役とする
- 注1の印には法人実印(代表者印)を、注3の印には届出人の実印を押印する
【法人】登記申請にまつわる疑問4選
初めて法人登記申請を行う際に気になる4つの疑問をご紹介します。
- 不備があったらどうなる?
- 申請が却下されるってどういうこと?
- 登記したら会社設立作業は終わり?
- 登記した内容はどうやって確認するの?
万が一に備えて確認しておくことで、安心して登記完了を待てるはずです。
Q1. 不備があったらどうなる?
Q2. 申請が却下されるってどういうこと?
Q3. 登記したら会社設立作業は終わり?
Q4. 登記した内容はどうやって確認するの?
小さな不備に気を付けて、確実に登記申請を済ませよう!
「法人登記申請」について、以下4つの要点を押さえておきましょう。
- 会社設立以外の法人登記申請がある
- 法人登記申請の3つの手続き方法
- 不備を防ぐための最終確認
- 不備が発生した場合の対処法
登記申請は、法人設立後の取引に直結するとても大切な手続きです。
そのためとても厳しくチェックされます。
あなたがどんなに完璧だと思っていても、不備が発生する可能性は捨てきれません。
しかしたとえ不備が発生したとしても、期限までに手続きを行えば、焦らなくても大丈夫です。
どう対処したらいいか分からない不備が発生したときなど、登記申請についてお困りなら、すぐにご連絡ください。
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