確定申告や年末調整のときに必ず関係してくるのは、所得控除

とくにフリーランスで活動している個人事業主は、所得控除についての理解が浅いままだと、確定申告時に困惑してしまいます。

またサラリーマンだからと言って、会社に任せっきりというのも禁物。

本来なら控除できたものが、申告忘れ間違った思い込みなどの理由で、控除されていないという事態にもなりかねません。

さらに2020年(令和2年)からは、税制が改正されて、主に次の事項が変更されます。

  • 控除額
  • 適用要件
  • 所得控除の種類

種類が多くて複雑な所得控除について確認し、一緒に知識のアップデートをしていきましょう。

【所得控除】とは?

所得控除とは所得税の税額を計算する際に、条件を満たすと一定額が差し引かれる措置のこと。

誰でも適用される基礎控除をはじめ、条件によって適用可能な控除の種類や控除額は様々あります。

ハンデのある人の納税の負担をなるべく減らして、生活レベルを一定に保つことが目的です。

ちなみに厳密に言うと所得控除は、

  • 所得税における所得控除」
  • 住民税の所得割額における所得控除」

上記2種類がありますが、本記事では前者について解説していきます。

【似ているようで違う!?】所得控除と給与所得控除

本題に入る前に確認してほしいことが、所得控除給与所得控除の違いです。

名称が似ているため混同しがちですが、下記のような違いがあります。

  • 所得控除…条件を満たす控除を探して申告しないと控除されない
  • 給与所得控除…何もしなくても勝手に給与から控除される

<もっと詳しく!>給与所得控除=“経費”⁉

給与所得控除を一口で説明すると、個人事業主でいうところの“経費”という認識でOKです。

個人事業主に限らず、業務に必要なものの大部分は経費として計上できます。

ただしサラリーマンが個人的に買ったスーツ・革靴などは、出勤時に必要不可欠であっても経費にすることはできません。

このように個人事業主とサラリーマンで経費にできる範囲に差ができてしまうので、サラリーマンはあらかじめ給与所得控除で差し引かれることで、なるべく公平に近づけるという狙いがあります。

2020年(令和2年)~給与所得控除額が改正!

給与所得控除は、2020年(令和2年)度より、一律で10万円引き下げられています。

改正後の給与所得控除額は下表で確認してみてくださいね。

給与等の収入金額(年収)控除額
~162.5万円以下55万円
162.5万円超~180万円以下収入金額×40%-10万円
180万円超~360万円以下収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下収入金額×10%+110万円
850万円超195万円(上限)
【ワンポイント】給与にかかる所得税の計算方法

給与にかかる所得税額は、次のような流れで算出できます。

①まずは所得税の課税所得を出す→【課税所得=収入ー給与所得控除ー所得控除】

②課税所得額に応じた税率をかける→【課税所得×*税率ー所得金額に応じた控除額=所得税額】

*所得金額に応じた税率と控除額
所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万~330万円10%97,500円
330万~695万円20%427,500円
695万~900万円23%636,000円
900万~1800万円33%1,536,000円
1800万~4000万円40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

【所得控除】改正後の種類・条件・控除額

今回紹介する15個の所得控除を、一覧にしてまとめたので、1つずつ確認していきましょう。

下表は2020年(令和2年)の改定版です。

名称(控除)概要・条件控除額(円)
①:基礎合計所得金額が2500万円以下(給与のみ:2695万円)のとき16万~48万
②:配偶者配偶者の合計所得が48万円(給与のみ:103万円)以下のとき13万~48万
③:配偶者特別納税者の所得が1000万円以下かつ、配偶者の合計所得が48万円超~123万円以下のとき1万~38万
④:扶養16歳以上の扶養親族の合計所得が48万円(給与のみ:103万円)以下のとき38万~63万
⑤: 所得金額調整年収が850万円超かつ、3つの条件のうちいずれかを満たしたとき(*給与等の収入金額-850万)×10%
*上限は1000万
⑥:医療費納税者もしくは配偶者、その他親族の医療費が一定額を超えたとき最高200万
⑦:雑損災害・盗難・横領により損害を受けたときいずれか多いほう
・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万
⑧:社会保険料納税者もしくは配偶者、その他親族の社会保険料を支払ったときその年に支払った金額の全額
⑨:生命保険料生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払ったとき最高12万
⑩:地震保険料地震保険料または掛金を支払ったとき年間の支払保険料等により異なる
⑪:小規模企業共済等掛金小規模企業共済等の掛金を支払ったときその年に支払った金額の全額
⑫:寄付金国、地方公共団体などに特定寄付金を支出したときいずれか少ないほうー2000
・その年に支出した特定寄付金の合計額
・その年の総所得金額等の40%相当額

⑬:障害者納税者、配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者のとき27万~75万
⑭:寡婦・ひとり親パートナーと死別・離婚後、独身のままのとき寡婦:27万
ひとり親:35万
⑮:勤労学生合計所得金額が65万円以下かつ、勤労以外の所得が10万円以下の学生27万
⑯:青色申告特別青色申告をしているとき10万 or 65万

①:基礎控除

基礎控除は、無条件で誰でも→合計所得金額が2500万円以下(収入が給与のみの場合は2695万円以下)なら控除の対象になる基本的な控除。

控除額は、一律→納税者の合計所得金額により異なり38万円→16万円~48万円です。

合計所得金額に応じた控除額は、下表をご覧ください。

合計所得金額控除額
2400万円以下48万円
2400万円超~2450万円以下32万円
2450万円超~2500万円以下16万円

また基礎控除に適用要件ができたことにより、合計所得金額が2500万円以下なら必ず「給与所得者の基礎控除申告書」を新たに提出する必要があります。

「給与収入850万円以下」なら税制改正の影響なし⁉

サラリーマンなど給与取得者の場合、給与収入850万円以下なら実質的に税制改正の影響は及びません。

なぜなら…

  • 基礎控除額が10万円プラス↗
  • 給与所得控除額が10万円マイナス↘

になってプラマイが0になるからです。

また個人事業主・フリーランスには、そもそも給与所得控除がないので、単純に控除額がアップ。

一方、給与所得控除額の上限が220万円→195万円になったことで、給与収入850万円超の場合は税負担が重くなります。

例:給与収入1500万円の場合の控除額

(改正前)

基礎控除額:38万円 + 給与所得控除額:220万円

=258万円

(改正後)

基礎控除額:48万円 + 給与所得控除額:195万円

=243万円

→控除額が少なくなったことで、15万円の税負担が増

年収の多い人の税負担が増えたんだね…。

②:配偶者控除

納税者に控除の対象となる配偶者がいる場合に受けられるのが、配偶者控除です。

配偶者控除額は、納税者の合計所得金額により異なります。

また納税者の合計所得金額が1000万円超の場合、配偶者控除は受けられません。

控除額

  • 納税者の合計所得金額
  • 控除対象配偶者の年齢

によって異なります。

納税者の合計所得金額控除額(一般控除)控除額(70歳以上の老人控除)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1000万円以下13万円16万円

控除の対象となる配偶者とは

控除の対象となるのは、以下すべての条件に当てはまる配偶者です。

  • 民法規定上の配偶者(内縁関係だと対象外)
  • 納税者と同一生計の配偶者
  • 年間の*合計所得金額38万円以下→48万円以下の配偶者(収入が給与のみの場合は103万円以下)
  • 青色申告・白色申告の事業専従者ではない配偶者
*合計所得金額に該当するもの一覧

合計所得金額を細分化すると、下記7つの金額を合わせたものになります。

かなり細かいですが、一口に言うと給与以外の収入と認識してもらう程度で十分です。

①下記損失の繰越控除を適用する前の総所得金額

  • 純損失
  • 雑損失
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失
  • 特定居住用財産の譲渡損失
  • 上場株式等に係る譲渡損失
  • 特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失
⑤先物取引に係る雑所得等の金額
②特別控除前の分離課税の長期・短期譲渡所得の金額 ⑥山林所得金額
③株式等に係る譲渡所得等の金額 ⑦退職所得金額
④上場株式等の配当所得等(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額) -

③:配偶者特別控除

配偶者に「48万円を超える合計所得」もしくは「103万円を超える給与収入」があって配偶者控除の適用外でも、配偶者特別控除なら利用できます。

ただし配偶者特別控除の適用上限は、「合計所得が133万円(給与収入のみなら201万円)」です。(令和2年分以降)

そのためパートの収入のみの主婦を例にすると、控除が受けられるギリギリのラインは年収201万円(厳密には201万6000円)になります。

控除額は、

  • 配偶者の合計所得金額
  • 納税者の合計所得金額

によって変動するので、配偶者と自身(納税者)の合計所得金額の合うところを確認しましょう。

配偶者の合計所得金額
(給与収入のみ)
納税者の合計所得金額:~900万円
納税者の合計所得金額:900万超~950万円
納税者の合計所得金額:950万超~1000万円
48万~95万円
(103~150万円)
38万円26万円13万円
95万超~100万円
(150万超~155万円)
36万円24万円12万円
100万超~105万円
(155万超~160万円)
31万円21万円11万円
105万超~110万円
(160万超~167万円)
26万円18万円9万円
110万超~115万円
(167万超~175万円)
21万円14万円7万円
115万超~120万円
(175万超~183万円)
16万円11万円6万円
120万超~125万円
(183万超~190万円)
11万円8万円4万円
125万超~130万円
(190万超~197万円)
6万円4万円2万円
130万超~133万円
(197万超~201.6万円)
3万円2万円1万円

“103万円の壁”は超えないほうがおトク!?

アルバイトやパートの経験がある方は、「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

103万円は、所得税の課税対象になるボーダーライン。

基礎控除額(38万円)+給与所得控除額のミニマム(65万円)=103万円

上記のボーダーを超えると、所得税の課税対象です。

控除を受けられるギリギリのライン“201万円の壁”

配偶者の給与収入が103万円を超えていても配偶者特別控除を利用すれば、201万円まで控除が可能です。(納税者の給与収入が1220万円を超えていない場合に限る)

【参考】“201万円の壁”については、次の記事でも紹介しています。

確実に所得税を0にするなら、103万円を超えないことが大事なんだね!

④:扶養控除

納税者に控除対象の扶養親族がいる場合に受けられるのが、扶養控除です。

控除額は、扶養親族の年齢条件によって異なります。

親族区分対象年齢(12/31時点)控除額
一般の控除対象扶養親族16歳~18歳
23歳~69歳
38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満63万円
老人扶養親族(*同居老親等以外)70歳以上48万円
老人扶養親族(同居老親等)70歳以上58万円

*同居老親以外…老人ホームに入所している場合など。ただし病気で長期的に入院している場合は、同居に含まれる。

控除の対象となる配偶者とは

控除対象の配偶者は以下のすべてに該当する必要があります。

  • その年の12/31時点で16歳以上
  • 配偶者を除く親族(6親等以内の血族及び3親等以内の姻族)
  • 納税者と同一生計
  • 年間の合計所得金額が38万円以下→48万円以下(給与のみなら103万円以下)
  • 青色申告・白色申告の事業専従者ではない

⑤:所得金額調整控除

所得金額調整控除とは、年収850万円超だと税負担が重くなることを受けて、新たに創設された所得控除の一種です。

利用できる条件は年収850万円超ということに加え、下記いずれかに該当する必要があります。

  • 本人が特別障害者である
  • 23歳未満の扶養親族がいる
  • 特別障害者の同一生計配偶者 or 扶養親族がいる

控除額は、次の計算式のとおりです。

(給与等の収入金額-850万円)×10%

ちなみに「給与等の収入金額」の上限は1000万円なので、最大でも控除額は15万円となります。

⑥:医療費控除

病院などで医療費を支払った場合に受けられるのが、医療費控除です。

医療費控除は、その年の1/1~12/31の間に自身もしくは同一生計者(配偶者や親族など)のために支払った分が適用されます。

控除額は、「支払った医療費ー保険金で補填される金額ー10万円」で算出され、最高で200万円までです。

ただしその年の総所得金額が200万円未満の対象者は、「総所得金額×5%」で算出します。

医療費控除の対象になる費用と対象外の費用

病院で支払った費用でも、すべての医療費が控除の対象になるわけではありません。

ほんの一例ですが、ここからは医療費控除の対象費用対象外費用を見ていきましょう。

控除の対象になる費用 対象外の費用
医師による診療・治療費 診断書の作成・予防接種の費用
病気・ケガのために購入した医薬品 サプリメント、エナジードリンクなどの購入費
通院・入院するための交通費 マイカーで通院したときのガソリン代・駐車場代
治療のためのマッサージなど施術代 美容目的の施術代
レーシックの治療費 メガネ、コンタクトの購入費

医療費控除の申込に必要な書類

医療費控除の申込時に必要な書類は、下記6種類。

  1. 確定申告書A(会社員・パート・アルバイトのみ)
  2. 確定申告書B(個人事業主のみ)
  3. 医療費控除の明細書(※④の提出で記入箇所の簡略化が可能)
  4. 医療費通知
  5. 源泉徴収票(給与所得者のみ)
  6. 領収書(提出義務はないが、5年間の保管が必須)

ちなみに提出期限は、

  • 個人事業主なら翌年2月半ば~3月半ばの確定申告シーズン
  • サラリーマンなど給与取得者は翌年から5年以内

なら還付申告が可能です。

⑦:雑損控除

雑損控除は、災害・盗難・横領などで資産に損害が出た場合に受けられる控除です。

具体的な例を挙げると、雑損控除の原因となるのは下記5種類。

  1. 自然現象の異変による災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など)
  2. 人為的な異常災害(火災、火薬爆発など)
  3. 害虫などによる異常災害
  4. 盗難
  5. 横領

控除額は次のうち、いずれか高いほうが適用されます。

  • (*差引損失額)ー(総所得金額)×10%
  • (差引損失額のうち災害関連支出の金額)ー5万円

*差引損失額=損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額ー保険金で補填される金額

もし損害額が莫大で総所得金額から引き切れないときは、以後3年を限度にして繰り越すことが可能です。

雑損控除なんて使わなくて済むのが理想だけどね…。

雑損控除の対象になる資産とは

雑損控除を受けるには、資産が次の①、②両方をクリアしないといけません。

  • ①:資産の所有者が次のいずれかに当てはまる

・納税者自身

・納税者と同一生計の配偶者・その他親族(年間の総所得金額が38万円以下の者に限る)

  • ②:資産が次のいずれか以外

・棚卸資産・事業用固定資産

・生活に通常必要でない資産(別荘、30万円超の貴金属・骨董品など)

⑧:社会保険料控除

年金や保険料を支払ったときに受けられるのが、社会保険料控除

具体例の一部を挙げると…

  • 国民年金
  • 国民健康保険
  • 厚生年金
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 労働保険

など、納税者自身だけでなく同一生計の配偶者・その他親族分の社会保険料も対象です。

控除額はその年に支払った社会保険料の全額です。

⑨:生命保険料控除

生命保険料控除は、納税者が

  1. 生命保険料
  2. 個人年金保険料
  3. 介護医療保険料

など、任意で加入した保険の保険料が控除されます。

限度額は3種類あわせて最大12万円です。

実際に控除を利用する際は、支払額などの証明書を添付または提示する必要があります。

ただし旧生命保険料で1契約あたり9000円以下のものは、必要ありません。

⑩:地震保険料控除

納税者が任意で自宅などに地震保険料を支払ったときに適用されるのが、地震保険料控除です。

控除額上限5万円までなら、全額控除されます。

また事業所や店舗などに地震保険料を支払っている事業主の場合は、損害保険料として経費計上は可能ですが、地震保険料控除の対象にはなりません。

2006年(平成18年)末までに損害保険の契約をしている場合
2006年まであった損害保険料控除は、2007年に廃止されました。

その改正により、経過措置として改正前に契約していた損害保険の保険料(=旧長期損害保険料)は、地震保険料控除としての適用に変更。

旧長期損害保険料として経過措置の対象になる条件は、次の3つです。

  1. 2006年12月31日までに締結した契約
  2. 満期返戻金のあるもので、10年以上契約しているもの
  3. 2007年以降に保険契約の変更をしていないもの

控除額は旧長期損害保険料の支払合計額により異なります。

支払保険料額(年間)控除額
10000円以下支払金額の全額
10000円~20000円以下支払金額×1/2+5000円
20000円超15000円

ちなみに地震保険料と旧長期損害保険料の2つとも控除対象の場合、上限5万円までなら両方の合計額が控除の対象になります。

地震保険料控除も上記の生命保険料控除と同じく、支払額などの証明書を提出します。

⑪:小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除が利用できるのは、次の3ついずれかの掛金を支払った場合です。

  1. 小規模企業共済法の規定に基づく共済契約
  2. 確定拠出年金(iDeCo)
  3. 心身障害者扶養共済

どちらも任意で加入できる積立制度で、その年に支払った全額が控除されます。

⑫:寄附金控除

納税者が国、地方公共団体、特定公益増進法人などに特定寄附金を支出したときは、寄附金控除の対象です。

控除額は、次の計算式から2000円を引いて低額のほうになります。

  1. 特定寄附金の合計ー2000円
  2. その年の総所得金額等の40%ー2000円

よほど多額の寄附をしない限り基本的には①に当てはまることがほとんですが、念のため2パターン計算して低額のほうを選びましょう。

利用時に必要な書類は次の3点。

  • 寄附金の受領証
  • 法人・信託が適格である証明書 or 認定証の写し
  • 寄附金(税額)控除のための書類 ※政治献金の場合

⑬:障害者控除

納税者自身、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者である場合、障害者控除が受けられます。

同一生計配偶者とは、次の要件をクリアしている配偶者のこと。

  1. 納税者と同一生計
  2. 合計所得金額が38万円以下(給与のみなら103万円以下)
  3. 青色事業専従者等ではない

また扶養親族の障害者控除では、扶養控除と異なり16歳未満でも適用可能です。

控除額は「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」によって異なります。

区分控除額
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円

特別障害者について

障害者の中でも重い障害がある場合、特別障害者となり、控除額も大きくなります。

特別障害者に該当するのは、次のいずれかに当てはまる場合です。(一例)

  • 身体障害者手帳1級もしくは2級
  • 精神障害者保健福祉手帳1級
  • *療育手帳A(1度か2度)
  • 戦傷者手帳第1~第3項症該当
  • 原爆症認定
  • 成年被後見人
  • 6ヶ月以上寝たきりの要介護者

*療育手帳は、都道府県によって「愛護手帳」「愛の手帳」「みどりの手帳」と名称が異なる場合アリ。

さらに特別障害者が配偶者もしくは扶養親族にいて、同一生計で常に同居している「納税者、配偶者、親族」がいる場合は、同居特別障害者に該当します。

⑭:寡婦控除・ひとり親控除←New!

「寡婦控除」とは、婚姻関係にあった夫と死別や離縁した後、再婚していない状態の方が利用できる控除です。

「ひとり親控除」は、令和3年分から創設された控除で、婚姻事実の有無男女問わず利用できます。

なお、ひとり親控除の創設により、「寡夫控除」と「特別の寡婦控除」は廃止されました。

それぞれの控除額は、次のとおり。

  • 寡婦控除・・・27万円
  • ひとり親控除・・・35万円

寡婦控除・ひとり親控除の対象となるのは、下記の該当者です。

寡婦控除の対象者

「寡婦控除」の対象者は、原則としてその年の12月31日時点で、次のいずれかに当てはまる方です。

  1. 夫と離婚後、「婚姻をしていない」+「扶養親族がいる」+「合計所得金額が500万円以下」
  2. 夫と死別後、「婚姻をしていない人 or 夫の生死が明らかでない一定の人」+「合計所得金額が500万円以下」

ひとり親控除の対象者

「ひとり親控除」の対象者は、原則としてその年の12月31日時点で、次の3つすべてに当てはまる方です。

  1. 事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいない
  2. 生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない)がいる
  3. 合計所得金額が500万円以下である

    ⑮:勤労学生控除

    納税者が所得税法上の勤労学生(=アルバイトしながら学校に通っている)である場合、勤労学生控除の適用になります。

    勤労学生に当てはまるのは、下記3つの条件をすべて満たさなければなりません。

    1. 給与所得など勤労による所得がある
    2. 合計所得が65万円以下かつ①の所得以外の所得が10万円以下である(給与収入のみなら130万円以下)
    3. 特定の学校(小中高大学、専門学校、職業訓練法人など)の学生・生徒である

    控除額は一律27万円です。

    ちなみに勤労学生の所得税は130万円(103万円+27万円)

    一方、学生のアルバイトの場合は103万円を超えると親の税負担が増えてしまうので、事前に確認しておきましょう。

    勤労学生控除を利用する際の必要書類は、その学校(職業訓練法人含む)から交付される証明書です。

    ⑯:青色申告特別控除(※個人事業主のみ)

    最後は個人事業主のみの対象になりますが、確定申告時に青色申告を選択すると受けられるのが、青色申告特別控除です。

    青色申告特別控除を受けるには、事業開始後2ヶ月以内に次の書類を提出しましょう。

    1. 開業届
    2. 所得税の青色申告承認申請書

    控除額は「65万円→「55万円」と「10万円」で分かれており、55万円の控除を受けるには、次のような条件が存在します。

    • 事業所得 or 不動産所得がある
    • 記帳の方法が複式簿記
    • 貸借対照表と損益計算書を添付
    • 3月15日の提出期限を守る

    65万円の控除を受ける方法

    税制改正により2020年(令和2年)以降、青色申告特別控除額は10万円低くなってしまいました。

    しかし次のいずれかを満たしていれば、従来どおり65万円の控除を受けることができます!

    1. 電磁的記録の備付けおよび保存をしている
    2. e-Taxにより電子申告をしている

    もう少しかみ砕くと…

    • 元帳や領収書などを紙ではなく電磁的記録(≒データ)で管理することを、税務署で認められている場合
    • e-Taxを利用してネット上で申告する場合

    上記のいずれかを満たしていれば、青色申告で65万円の控除が可能です。

    ただしすでに10万円控除を受けている方は、上記を満たしても65万円控除にはならないので、注意しましょう。

    つまり青色申告は65万円、55万円、10万円の3種類になるんだね!

    【所得控除】必要書類まとめ

    実際に所得控除を利用するときの必要書類を、一覧で紹介していきます。

    所得控除名主な添付・提示書類
    ①:基礎控除-
    ②:配偶者控除控除国外居住の場合
    ・親族関係書類
    ・送金関係書類
    ③:配偶者特別控除国外居住の場合
    ・親族関係書類
    ・送金関係書類
    ④:扶養控除控除国外居住の場合
    ・親族関係書類
    ・送金関係書類
    ⑤:所得金額調整控除-
    ⑥:医療費控除・医療費控除の明細書
    ・医療費通知(原本)
    ⑦:雑損控除災害等に関連するやむを得ない支出の領収書
    ⑧:社会保険料控除社会保険料(国民年金保険料)控除証明書等
    ⑨:生命保険料控除支払額の証明書*
    ⑩:地震保険料控除支払額の証明書*
    ⑪:小規模企業共済等掛金控除支払額の証明書*
    ⑫:寄附金控除・寄附金の受領証
    ・法人・信託が適格である証明書 or 認定証の写し
    ・寄附金(税額)控除のための書類 ※政治献金の場合
    ⑬:障害者控除国外居住の場合
    ・親族関係書類
    ・送金関係書類
    ⑭:寡婦(寡夫)控除-
    ⑮:勤労学生控除学校や法人から交付される証明書

    *給与所得者がすでに年末調整をする過程で該当の控除を受けている場合は、添付 or 提示は不要です。

    【16種類の所得控除】をマスターしよう!

    本記事では所得控除の基本事項や給与所得控除の違いをはじめ、16種類の所得控除を順番に紹介してきました。

    今一度おさらいしてみると…

    ①:基礎控除 ⑨:生命保険料控除
    ②:配偶者控除 ⑩:地震保険料控除
    ③:配偶者特別控除 ⑪:小規模企業共済等掛金控除
    ④:扶養控除 ⑫:寄附金控除
    ⑤:所得金額調整控除 ⑬:障害者控除
    ⑥:医療費控除 ⑭:寡婦控除・ひとり親控除
    ⑦:雑損控除 ⑮:勤労学生控除
    ⑧:社会保険料控除 ⑯:青色申告特別控除

    それぞれの所得控除の種類条件控除額は理解できましたか?

    また所得控除の概要がつかめても、自分がどの所得控除を利用できるのかわからないと意味がありません。

    複雑でイマイチよくわからない!と少しでも感じたなら、いつでもご相談ください。

    その道のプロが、あなたが一番トクする方法をお伝えいたします!

    ※所得控除を有効活用して、できる限り節約しよう!

    細かい相談でもOK!あなたからの連絡、お待ちしています。

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