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新型コロナウイルスの影響により、雇用調整助成金の特例が発表されました。

従来のものと比べて手続きが簡素化され、申請がしやすくなっています。

今回の特例措置の要件や内容を確認して、雇用調整助成金を受給しましょう!

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)とは?

雇用調整助成金とは、従業員の雇用を守るための助成金制度です。

新型コロナウイルスの影響で、従業員に休業を命じなければならない会社や個人事業主が増えています。

この状況を受けて発表されたのが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例です。

まずはじめに、下記の2点を確認していきましょう。

  • 今回の特例措置の概要
  • 特例によって簡素化された点

今回の特例措置の概要

今回の特例措置は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業主が、休業手当賃金を支給して従業員を休ませた場合に、その費用の一部を政府が助成するものです。

令和2年4月1日~令和3年11月30日までが緊急対応期間となっており、特例措置が設けられています。

特例のポイント(中小企業)

中小企業に関する今回の特例のポイントは、下記の5点です。

  1. 助成額の上限額の引上げ
  2. 助成率の拡充
  3. 緊急対応期間の延長
  4. 出向が支給対象になるための期間要件の特例
  5. 申請期限の特例

ポイントとその内容について、確認していきましょう。

特例のポイント 従来の内容 特例の内容
① 助成上限額の引上げ 1人あたり日額8370円

・判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から11月30日までの場合…13,500円

・判定基礎期間の初日が令和3年4月30日以前の場合…15,000円

② 助成率 2/3

通常4/5

解雇等を行わず雇用維持を行う場合は下記のいずれか

・判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から11月30日までの場合は 9/10

・判定基礎期間の初日が令和3年4月30日以前の場合は10/10

③ 緊急対応期間の延長 令和2年6月30日まで 令和2年4月1日~令和3年11月30日まで
④ 出向が支給対象になるための期間要件の特例 3か月以上1年以内 緊急対応期間内においては、出向期間が1か月以上1年以内であれば雇用調整助成金の支給対象になる。
⑤ 申請期限の特例措置 支給対象期間の末日の翌日から2か月以内

本助成金を受給するには、要件をすべてクリアする必要があります。

さらに要件とともに、支給対象になる基準助成額についても確認しましょう。

本記事では主に中小企業を対象とし、解説していきます。

支給対象となる事業主

事業主が支給対象となるには、次の4要件をすべて満たすことが必要です。

  1. 雇用調整の実施
  2. 雇用保険適用事業主*であること
  3. 受給に必要な書類を適切に扱うこと
  4. 労働局等の実地調査を受け入れること

ここでは1つ目の要件である雇用調整の実施について、詳しく解説していきます。

 *…雇用保険被保険者を1人以上雇用する事業所の事業主。

雇用調整の実施

本助成金の特例は、支給対象を次のように規程しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主

(参照:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」p.3

  • 新型コロナウイルス感染症の影響
  • 事業活動の縮小
  • 労使間の協定

上記の内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症によって、経営環境の悪化がみられるケースです。

【経営悪化の理由例】
  • 観光客のキャンセルが相次いだことにより、客数が減り売上が減少した。
  • 市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上が減少した。
  • 行政からの営業自粛要請を受け休業したことにより、客数が減り売上が減少した。

(引用:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」p.3

新型コロナウイルスと経営悪化の因果関係がポイント!

事業活動の縮小

事業活動の縮小

売上高・生産量などの事業活動を示す指標の最近1か月間*の値が、1年前の同じ月に比べて5%以上減少している場合です。

*…休業した月(その前月・前々月も可)。

事業活動の縮小に関する内容として、次の点もふまえておきましょう。

  • 1年前の同じ月を比較対象とすることが適当でない場合は、2年前の同じ月と比較できる。
図解1

  • 1年前や2年前の同じ月と比較しても要件を満たさない場合、休業した月の1年前の同じ月から休業した月の前月までの間の適当な1か月と比較できる。
図解2

 

前提として上記いずれの場合も、比較する月の事業所は1か月間を通して雇用保険に加入しており、被保険者を雇用した状態であることが必要です。

労使間の協定

休業の実施時期や日数・対象者・休業手当の支払い率などについて、事前に労使間書面による協定が結ばれ、その決定に沿って実施することが必要です。

労使とは、下記のいずれかを指します。

  • 事業主と労働者の過半数で組織する労働組合
  • 労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者

なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、事前に書面による協定を結ぶことが難しい場合は、労働組合等との確約書等による代替が可能です。

支給対象となる期間と日数

今回の特例では、助成金の支給対象となる期間日数が定められています。

理解を深めるために、次の内容を確認していきましょう。

  • 対象期間
  • 判定基礎期間
  • 支給対象期間
  • 支給限度日数

対象期間

対象期間

本助成金は、1年の期間内に実施した休業について支給対象となりますが、この1年間を対象期間といいます。

休業を行う場合、本助成金を受給しようとする事業主が対象期間を指定できます。

【対象期間の具体例】
  • 休業の初日から1年間
  • 暦月*(1日から月末まで)で12か月分

*…月の初日から起算する場合はその月の末日まで、月の途中から起算する場合は翌月の同日付の前日までとする数え方。

判定基礎期間

判定基礎期間

 

休業を行う場合、原則として対象期間内の実績を1か月単位で判定し、それに基づいて支給されます。

この1ヶ月単位の期間が判定基礎期間です。

判定基礎期間…原則として毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間。

(参照:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」p.5

ただし、毎月の賃金の締め切り日が特定されない場合などは暦月となります。

【判定基礎期間の例】

賃金の締め切り日が毎月末日の場合、5月分の判定基礎期間は次のようになります。

5月1日~5月31日

支給対象期間

支給対象期間

本助成金では通常、毎月の判定基礎期間ごとに支給申請をします。

このときに支給申請する判定基礎期間が支給対象期間です。

複数の判定基礎期間(複数月)を同時に申請することもできますが、その場合でも、休業の実績一覧表などは、毎月の判定基礎期間ごとに作成・提出する必要があります。

支給限度日数

本助成金が支給される日数の上限は、1年間100日分3年間150日分です。

ただし、緊急対応期間中に実施した休業は、この支給限度日数には含めません

支給日数の計算方法

休業を実施した労働者が1人でもいた日を1日とカウントするのではなく、休業の延べ日数を、休業を実施する事業所の労働者のうち本助成金の対象となりうる対象労働者の人数で割って得た日数を用います。

【支給日数の計算式】
支給日数=休業の延べ日数÷対象労働者
【具体例】

事業所における対象労働者が10人、そのうちの6人が5日ずつ休業した場合

6人×休業5日=30日(休業の延べ日数)
30日÷対象労働者10人=支給日数3日(残り97日)

支給対象となる休業

助成金の支給対象となる休業には、要件が設けられています。

以下に説明する(1)対象労働者に実施した、(2)に該当する休業が支給対象です。

(1) 対象労働者

本助成金の対象労働者は、支給の対象となる事業主に雇用されている雇用保険被保険者

ただし、次に該当する方を除きます。

  • 解雇を予告されている方
  • 退職願を提出した方
  • 事業主による退職勧奨に応じた方
  • 日雇労働被保険者

上記の方でも、解雇予告された日退職願を提出した日までは対象労働者です。

なお、他の助成金等の支給対象にも該当した場合は、どちらかの助成金しか受けられないので注意しましょう。

(2) 休業

本助成金の対象となる休業は、次の①~⑤のすべてを満たす必要があります。

  1. 労使間の協定により実施されるものであること
  2. 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること
  3. 判定基礎期間における対象労働者に関する休業の実施日の延べ日数が、対象労働者における所定労働延日数の1/40(大企業の場合は1/30)以上となるものであること
  4. 休業期間中の休業手当の額が、平均賃金の6割以上であること
  5. 所定労働日の所定労働時間内で実施されるものであること

さらに上記の必須項目5つに加え、次のいずれかに該当する休業でなければいけません。

  • 所定労働日の全日(丸1日)にわたる休業
  • 所定労働時間内に部署・部門や職種、役職、担当、勤務体制、シフトなどにより行われる1時間以上の短時間休業
  • 事業所一斉に行われる1時間以上の短時間休業

休業の中にも、こんなに条件があるんだ!

    助成額

    1日1人当たりの上限額は、下記の通りです。

    • 判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から11月30日までの場合…13,500円
    • 判定基礎期間の初日が令和3年4月30日以前の場合…15,000円

    助成額の計算に必要なのは次の2点。

    1. 休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額
    2. 助成率

    助成額は、上記2点と休業した延べ日数をかけ合わせたものです。

    【助成額の計算式】
    助成額=①×②×休業した延べ日数

    ①・②それぞれの算出方法を解説していきます。

    ①:休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額

    算出方法は3通りあるので、いずれかの方法で算出しましょう。

    算出方法 その1

    ①=前年度の賃金総額÷前年度1か月平均の雇用保険被保険者数(または年間所定労働日数)×休業手当の支払い率*

    *…労使協定で定めた率。

    算出方法 その2

    ①=判定基礎期間の初日が属する年度(または前年度)の任意の月に提出した給与所得等の所得税徴収高計算書の支給額÷人員(または月間所定労働日数)×休業手当の支払い率

    この方法で計算した場合は、使用した所得税徴収高計算書を添付しましょう。

    算出方法 その3(小規模事業主の場合)
    小規模事業主の場合は次のようになります。
    ①=実際に支払う休業手当の総額

    (参照:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」p.7

    ②:助成率

    中小企業の場合、女性率は通常4/5(80%)解雇などを行わず、雇用を維持した場合は下記のいずれかになります。

    解雇などを行わず、雇用を維持した場合

    • 判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から11月30日までの場合… 9/10(90%)
    • 判定基礎期間の初日が令和3年4月30日以前の場合は…10/10(100%)

    計算式に当てはめ、助成額を算出してみてくださいね。

      申請の流れと必要書類

      申請手続きは、下記の4ステップです。

      1. 休業の具体的な内容(期間・日数・休業手当の支払い率)を計画後、労使で休業の協定を書面にて締結する。
      2. 協定に基づき休業を実施し、従業員に休業中の休業手当を支払う。
      3. 必要書類を揃え、支給申請を行う。
      4. 労働局で審査後、支給決定額が口座に振り込まれれば完了。

      通常は、休業実施前に計画届を提出する必要がありますが、令和2年5月19日以降から行う支給申請については、計画届の提出が不要となりました。

      3つ目のステップである支給申請について、詳しく解説していきます。

      支給申請

      休業実施後に、休業の実績に基づいて支給申請を行います。

      支給申請に必要な書類をそろえ、下記のいずれかの方法で提出しましょう。

      • 事業所の住所を管轄する労働局ハローワークに直接提出
      • 郵送する

      必要書類

      必要書類は下記の9点です。

      書類名 備考
      ①雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書

      月ごとの売上などがわかる書類

      例:売上簿や収入簿レジの月次集計など (既存書類の写しで可)

      ②支給要件確認申立書・役員等一覧 役員名簿を添付した場合は役員等一覧の記入は不要
      ③休業・教育訓練実績一覧表 自動計算機能付き様式
      ④助成額算定書 自動計算機能付き様式
      ⑤(休業等)支給申請書 自動計算機能付き様式

      ⑥休業協定書*

      *…失効した場合には改めて提出が必要。

      労働組合がある場合は組合員名簿 *、労働組合がない場合は労働者代表選任書*

      *…実績一覧表に署名または記名・押印があれば省略可。

      ⑦事業所の規模を確認する書類

      事業所の従業員数や資本額がわかる書類 (既存の労働者名簿及び役員名簿で可)*

      *…中小企業の人数要件を満たす場合、資本額がわかる書類は不要。

      ⑧労働・休日の実績に関する書類

      休業させた日や時間がわかる書類

      例:出勤簿タイムカードの写しなど (手書きのシフト表などでも可)

      ⑨休業手当・賃金の実績に関する書類

      休業手当や賃金の額がわかる書類

      例: 賃金台帳給与明細の写しなど

      (参照:厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック」p.2

      ①・⑥・⑦は2回目以降の提出は不要です。

      提出した書類は支給決定されたときから5年間保存する必要があります。

      小規模事業主の場合

      従業員がおおむね20人以下である小規模事業主の場合、申請に必要な書類はよりシンプルです。

      書類名 備考
      ①支給申請書類(3種類) 様式新特小第1号・2号・3号

      ②比較した月の売上などがわかる書類*

       

      例:売上簿・レジの月次集計・収入簿など

      *…休業した月と1年前の同じ月の2か月分が必要(休業した月の前月などの比較も可能)。

      *…2回目以降は提出不要。

      ③休業させた日や時間がわかる書類 例:タイムカード・出勤簿・シフト表など
      ④休業手当や賃金の額がわかる書類 例:給与明細の写しや控え・賃金台帳など
      ⑤役員名簿(役員等がいる場合)*

      生年月日が入っているもの。

      *…事業主本人以外に役員がいない場合及び個人事業主の場合は、提出不要。

      (参照:厚生労働省「雇用調整助成金支給申請マニュアル」(小規模事業主用)p.7

      ①に②〜⑤を添付し、書類を作成しましょう。

      振込み間違いを防ぐため、通帳かキャッシュカードのコピー(口座番号やフリガナの確認ができる部分)をできるだけ添付*してください。

      *…2回目以降は提出不要。

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      雇用調整助成金の特例について、次の順番でご紹介してきました。

      • 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)とは?
      • 特例のポイント(中小企業)
      • 支給対象となる事業主
      • 支給対象となる期間と日数
      • 支給対象となる休業
      • 助成額
      • 申請の流れと必要書類

      従来の雇用調整助成金と比べて、手続きが簡単になったことが大きな特徴です。

      要件手続きの流れをしっかり確認して、今回の雇用調整助成金をもれなく受給しましょう!

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