銀行・郵便局口座からの口座振替を設定しておけば、毎年の引き落とし時期に継続して固定資産税を口座振替処理してくれます。
この方法だと振替手数料がかからず、確実に支払いができるため便利です。
「法人が不動産を持つメリットはあるのかな?」
「固定資産税ってよく聞くけど、なんだか難しい…」
法人で不動産を所有していたり新たな購入を考えている場合、固定資産税について気になりますよね。
本記事では最低限知っておきたい固定資産税の基本について、法人向けに解説していきます。
固定資産税の概要や納付のスケジュールを知って、キャッシュフロー管理に活かしましょう!
もくじ
法人の固定資産税とは、法人が所有する固定資産(事業継続に使われる財産・設備)にかかる税金のことです。
毎年1月1日時点(賦課期日*)で固定資産を所有する人に納税義務が課せられます。
*…その日現在で1年度分の課税要件を確定する日のこと。
法人の固定資産税の基本内容について、下記の順で確認していきましょう。
法人の場合に課税対象となるのは、法人が所有し事業のために使われる下記の3種類です。
課税対象 | 具体例 | 非課税になる合計金額 |
①:土地 | 畑・田んぼ・牧場・山林・宅地 | 30万円未満 |
②:社屋(法人が所有する建物) | 持ち家・工場・店舗・倉庫 | 20万円未満 |
③:償却資産 | エアコン・プリンター・陳列棚・看板・業務用の自動車 | 150万円未満 |
①〜③をまとめて固定資産といいます。
①・②に比べて馴染みがない③の償却資産について、詳しく見ていきましょう。
償却資産とは、時間の経過によって価値が減っていく事業用資産のことです。
基本的には取得価額10万円以上かつ耐用年数1年以上のものが償却資産とされ、細かい消耗品は対象になりません。
償却資産は、数年に分けて少しずつ費用に計上していく減価償却という方法で会計処理をします。
減価償却費を計上することで利益を減らせば、税金を抑えることが可能です。
納税義務者となるのは、毎年1月1日時点でその資産を所有していた人物です。
年度の途中で固定資産の所有者が変わっても、1月1日に所有者として登録されている人物がその年度の納税義務者となります。
納税先はその固定資産がある市町村です。
例外として、東京23区の場合は東京都が課税主体となります。
納期は年4回で、原則として4月・7月・12月・2月(東京都のみ6月・9月・12月・2月)です。
納税日が近づくと、市役所などの地方自治体から納税通知書や納付書が送られてきます。
東京23区内に固定資産を持っている場合、納税先・納期が他の地域と異なるので注意してください。
固定資産の所在地 | 東京23区以外 | 東京23区 |
納税先 | 固定資産が所在する市町村 | 東京都 |
納期 | 4月・7月・12月・2月 | 6月・9月・12月・2月 |
法人が固定資産をもつメリットには、下記の3点が挙げられます。
資産の価値が高い場合、その資産にかかる税率は上がっていきます。
しかし、同じ資産金額でも法人税の方が個人にかかる所得税に比べて税率の上昇が低いため、法人名義で購入すれば節税が可能です。
個人 | 法人 | ||
個人の所得金額 | 所得税率 | 法人規模 | 法人税率 |
195万円以下 | 5% | 資本金1億円以下の中小法人(年間所得800万円以下) | 15% |
195万~330万円 | 10% | ||
330万~695万円 | 20% | ||
695万~900万円 | 23% | 資本金1億円以下の中小法人(年間所得800万円超) | 23.2% |
900万~1800万円 | 33% | ||
1800万~4000万円 | 40% | ||
4000万円超 | 45% | 中小法人以外の普通法人 | 23.2% |
また減価償却費を経費として毎年計上することにより、数年間にわたって利益を抑えることができます。
個人で不動産を購入しても、購入にかかる費用や社宅として使用する場合の費用を経費にすることはできません。
しかし法人名義で不動産を購入した場合、費用の大部分を経費として計上することが可能です。
多くの項目を経費計上して損金にできるので、会社の利益を少なく見せることができ、結果的に節税になります。
固定資産を所有していれば、決算調整などで利益が欲しくなった場合に売却することができます。
もしもの場合に利益を出せるので、損失が出た場合のリスクヘッジとして有効です。
固定資産税を求めるための計算式は、下記の通りです。
固定資産税=資産の評価額 ×1.4%(標準税率*)
*…地方税法により一般的に1.4%とされていますが、地域によっては1.4%以外の税率を設定している場合もあるので注意してください。
資産の評価額は、それぞれの固定資産によって変わります。
法人の課税対象となる下記3点について、評価額の求め方を確認していきましょう。
土地の場合、路線価方式が採用されます。
路線価とは、道路に面する土地1㎡あたりの評価額のこと。
路線価が設定されている地域の土地は、路線価に基づいて評価します。
その土地が路線価地域かどうかは、路線価図・評価倍率表(国税庁HP)でチェックしてみましょう。
社屋の場合、評価額は以下のようになります。
固定資産課税台帳とは、地方税法に基づき、市町村が固定資産の状況・価格を明らかにするために作成する台帳のことです。
ただし新築・増改築された建物は、固定資産課税台帳に新たに価格を登録する必要があるため、専門家による調査が行われます。
調査の目的は、建築確認申請書や見積書・請負契約書・竣工図などの建築資料をもとにした施工状況の確認です。
評価額は3年に1度見直されますが、一度調査が行われた建物については、経過年数による減点補正などが数値的に行われるため、再調査は行われません。
償却資産の課税対象は、取得価格10万円以上かつ耐用年数1年以上のものが一般的です。
資産1つずつに計算が適用され、基本的には以下の計算方法によって算出されます。
ただし最低値が存在し、評価額が取得価格の5%を下回った場合は、取得価格の5%が評価額となります。
毎年、市役所などの地方自治体から納税通知書や納付書が送られてきます。
納付期限は各自治体によって異なりますが、年4回の分割払いが一般的です。
納付手続きについて、下記の順番で確認していきましょう。
固定資産税の納付スケジュールは市町村ごとに異なりますが、一般的なスケジュールは下記の通りです。
時期 | 内容 |
4月~6月 | 振込用紙と納税通知書の到着(郵送) |
6月 | 第一期分の納付 |
9月 | 第二期分の納付 |
12月 | 第三期分の納付 |
翌年2月 | 第四期分の納付 |
最初に届く納税通知書にすべての期の振込用紙が入っていますので、振込用紙を無くさないように注意しましょう。
第一期の納付期限までに全期分をまとめて支払うこともできます。
固定資産税の納付方法は、下記のように様々です。
ただし、①以外の方法だと領収書と受領書を受け取ることができないので、支払いの事実を自分で記録するようにして下さい。
現金で支払うことができる場所は、下記のいずれかです。
支払い可能な窓口の情報は、最寄りの市区町村のホームページや市区町村から送付されてくる納付通知書に印字されています。
上記いずれかの窓口で現金で支払うと、領収書と受領書を受け取ることができます。
自治体によってはクレジットカードで支払うこともできます。
ただし決済に手数料がかかったり、支払える金額に上限が設けられている場合もあるので注意しましょう。
市区町村が運営するウェブ専用サイトで支払うのが一般的です。
クレジットカード決済をする時には、納付先の市区町村の対応についてよく確認してから行ってください。
銀行・郵便局口座からの口座振替を設定しておけば、毎年の引き落とし時期に継続して固定資産税を口座振替処理してくれます。
この方法だと振替手数料がかからず、確実に支払いができるため便利です。
口座振替を登録するには、下記いずれかの書類を金融機関に提出します。
領収書は発行されないので、明細を確認し出金されているかを確認するようにしましょう。
固定資産税もペイジーを利用して納付できます。
手数料はかかりませんが、領収書が発行されないので注意してください。
ぺイジー対応のATMか、インターネットバンキング・モバイルバンキングから支払いましょう。
固定資産税は、nanacoやWAONなどの電子マネーにキャッシュカードからチャージして支払うこともできます。
クレジットカードから電子マネーに必要な金額をチャージし、固定資産税をコンビニエンスストアで支払います。
電子マネーへのチャージには手数料がかからないので、お得な方法です。
電子マネーの種類によって利用できるコンビニエンスストアやクレジットカードが変わるので、事前の確認とチャージの手続をしておきましょう。
固定資産税は、電子申告(eLTAX)で納付することも可能です。
法人として利用するには、下記のような事前準備が必要になります。
電子証明書の登録作業などのデータ登録を行った後、電子申告システムから申告・納付という流れになります。
法人の固定資産税について、下記の順番で解説してきました。
固定資産税の算出は少し複雑ですが、固定資産の所有には嬉しいメリットがあります。
長期的な節税も可能なので、経営ビジョンに合わせて固定資産の管理を行っていきましょう。
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