
会社を設立する際にはたくさんの書類を提出する必要があります。
しかし自分でイチから調べて書類を揃えていくのは、なかなか骨が折れる作業ですよね。
そこでこのページでは会社設立時に必要な書類を、初めて起業する人にもわかりやすく解説していきます。
※ちなみに会社設立の方法には「発起設立」と「募集設立」がありますが、現在「募集設立」はほとんど行われてません。そのため本記事では「発起設立」について紹介します。
もくじ
会社設立ならまずはここから! 用意すべき王道の書類7点
会社を設立する際の必須書類が7点あるので、まずはここから準備していきましょう。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 登記すべき事項を保存したCD-R
- 定款(3通)
- 取締役の就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑(改印)届出書
①:登記申請書
登記申請書とは会社名や所在地など、会社設立の際の情報をまとめて申請する書類のこと。
書く項目は主に以下の9ヶ所です。(法務局HP内「商業・法人登記の申請手続について」参照)
登記申請書記入の注意点
登記申請書に記入する際は以下のポイントに注意しましょう。
- 横書きで書くこと(添付書類は縦書きでも可)
- 文字をはっきりと書くこと
- 申請書が2枚以上になるときは契印(割印)を押すこと
- 文字を訂正するときは訂正するところを線で消して、欄外に「何字追加(もしくは削除)」と記載して訂正印を押すこと
- 手書きで記入する場合は黒色ボールペンで書くこと(鉛筆は不可)
- なるべくA4の用紙に記入すること
- 添付書類の原本を返還してほしい場合は、そのコピーに「原本と相違ありません。」と記載のうえ、署名と押印をすること
②:登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
登録免許税は収入印紙で納付するので、それを貼る台紙を添付書類として提出します。
登録免許税納付用台紙のサンプルはコチラからダウンロードできるので、活用してみてください。
台紙に貼り付けた収入印紙は汚したり割印をしてしまうと、使用できなくなってしまうので注意しましょう。
③:登記すべき事項を保存したCD-R
「登記すべき事項」は株式会社や合同会社などで違ってきます。
国税庁HP内「登記事項の作成例一覧」の中の例を参照しながらテキストデータで作成していきましょう。
CD-ROM、DVD-R、DVD-ROMもしくは書面での提出も可能です。
④:定款(3通)
定款とは会社の基本的な規則を記したものです。
会社設立の登記手続きは、定款が*公証役場から認証を受けてからでないとできません。
*公証役場…公正証書の作成や私文書の認定、確定日付の付与などを行う官公庁。全国に約300カ所存在する。
定款は…
- 会社保存用
- 法務局提出用
- 公証役場用
の3通が必要です。
定款の書き方については、以下のページに詳しく書かれているのでぜひチェックしてみてください。
⑤:就任承諾書
就任承諾書とは役員としての就任を承諾したことを証明する書類のこと。
就任承諾書には主に以下の3種類があります。
- 取締役の就任承諾書
各取締役の就任承諾書は人数分の作成が必要ですが、*発起人が取締役になる場合は不要です。
発起人以外の人が取締役になる場合は、その人数分の就任承諾書を作成しましょう。
*発起人…資本金を出資や定款の作成など、会社を設立するときに必要な準備を行う人のこと。 会社設立後に発起人は必ず株主となります。 小規模の会社を設立する場合は、発起人が取締役を兼ねることがほとんどです。
- 代表取締役の就任承諾書
取締役が1名のときはその人は必然的に代表取締役になるので、代表取締役の就任承諾書は不要です。
ただし複数いる取締役の中で代表取締役になる場合は、上記の取締役の就任承諾書と合わせて2枚用意する必要があります。
- 監査役の就任承諾書
取締役会が設置されている会社には監査役の存在も必要になってくるので、監査役の就任承諾書を作成しましょう。
⑥:払込証明書
払込証明書は、資本金が実際に支払われたことを証明する書類です。
払込証明書を提出する際は、添付書類として銀行口座の通帳のコピーを提出しましょう。
コピーするのは以下3ヶ所です。
- 通帳の表紙
- 通帳の表紙裏
- 資本金の振り込みが記帳されているページ
⑦:印鑑(改印)届出書
印鑑届出書は、会社の実印(=代表者印)を法務局で登録するための書類です。
印鑑届出書を提出するときは代表取締役個人の実印を押印することに加え、印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)も必要になるので用意しておきましょう。
また別の印鑑に変えるときは改印届出書を同じ要領で提出します。
書き方の例は法務局HPにあるPDFを参照にしてみてください。
もしかしたら必要になるかもしれない書類3点
ここからは場合によって必要になる以下2点の書類について解説していきます。
- 発起人の決定書
- 取締役全員分の印鑑証明書
- 設立時代表取締役選定書
①:発起人の決定書
発起人の決定書とは、本社の所在地(住所)など定款に記載のない事項について、発起人全員の合意のもとで決めたことを証明する書類です。
ただし発起人の決定書は、定款の本店の所在地を書くところで住所を番地まで細かく書いた場合は必要ありません。
移転する場合に備えて、「本店を東京都新宿区に置く」のように住所をざっくりと書いた場合は提出が必要です。
以下の記事内「本店の住所」欄にも説明があるので、チェックしてみてください。
②:取締役全員分の印鑑証明書
取締役会の設置がない会社では、取締役全員分の印鑑証明書が必要です。
取締役会の設置がある会社は、代表取締役の印鑑証明書だけの添付で提出できます。
③:設立時代表取締役選定書
取締役会の設置がある場合に必要になるのが、設立時代表取締役選定書です。
定款には記入することができないので、取締役会で設立時代表取締役が決まったら選定書を作成して登記時に提出します。
必要書類の綴じ方
必要書類が用意できたら、法務局へ申請するために綴じていきます。
基本的にはここまで紹介してきた…
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 定款(3通)
- 就任承諾書
- 払込証明書
- 発起人の決定書(定款に記載のない事項がある場合)
- 取締役全員分の印鑑証明書(取締役会の設置がない場合)
- 設立時代表取締役選定書(取締役会の設置がある場合)
上記の書類を、2ヶ所ホチキスで綴じるだけです。
ただし印鑑(改印)届出書だけは別にして、クリップで留めるようにしましょう。
また「①登記申請書」と「②登録免許税の収入印紙を貼付した台紙」については、会社の実印で契印を押すことを忘れないでください。
クリップで留めた書類一式に加え、登記すべき事項を保存したCD-Rを用意すれば完成です。
ピーバのQ&Aコーナー!~会社設立時の必要書類編~
会社設立に関するお悩みに、カピバラがビシッと答えていきます。
Q1.合同会社を設立するときは、どんな書類をそろえたらいいのでしょうか?
ただ合同会社は定款の認証を受ける必要がないから、比較的ラクに設立するできるかも!
株式会社の設立時と大きく違う点は、定款の認証が不要ということ。
そのため合同会社設立時に提出する書類は、2通だけでOKです。
必要書類の一覧は以下に記載します。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 登記すべき事項を保存したCD-R
- 定款(2通)…会社保存用と法務局提出用の2通。合同会社の定款は認証してもらう必要がないので、公証役場用の定款は不要です。
- 代表社員就任承諾書…代表社員に就任することを承諾する書類です。株式会社で言うところの代表取締役は、合同会社では代表社員と言います。代表社員が複数いる場合は、人数分の就任承諾書が必要です。
- 払込証明書
- 印鑑(改印)届出書…代表社員の印鑑証明書とあわせて提出しましょう。
- 本店所在地及び資本金決定書…定款にざっくりとした住所しか書いていない場合に作る書類。株式会社設立時の提出書類でいうところの、発起人の決定書と同じ役割を果たします。
合同会社とは?
合同会社とは出資者=経営者で、出資者の全員が有限責任社員の会社のこと。
有限責任社員は会社の経営が傾いて負債を負ったとしても、出資した額以上の被害を被ることはありません。
無限責任社員だと自腹で負債を背負わないといけないので、比較的にリスクが少ないことが特徴です。
合同会社にするメリット/デメリット
合同会社のメリットとデメリットを解説していきます。
【メリット】
- 会社設立コストが安い
株式会社の登録免許税は15万円なのに対し、合同会社を登記する際の登録免許税は6万円です。
さらに定款の認証も不要なので、その分の費用も浮きます。
- 利益配分が自由に決められる
株式という概念がないので、たとえ出資の際に高額な金額は出していなくても、会社の発展に貢献していれば利益を多めに配分することが可能です(その逆も然り)。
よって内部で利益の割合を決められるという自由度の高さがあります。
- 決算公告をしなくてもOK
合同会社は決算の公告が不要なので、公告による費用を削減できるかつ手間も省くことができます。
- 役員の任期が無限
合同会社の役員の任期は何年でも大丈夫です。
株式会社では原則2年間と決まっており、延長する際も手間とお金がかかるので、合同会社は費用面と時間面でのメリットがあります。
【デメリット】
- 株式会社と比べると信用度が低い
合同会社は株式会社と比べると会社形態も新しく認知度も低いため、信用度も低くなる可能性があります。
また決算の公告がないということも取引上不利になることもあるので、注意が必要です。
- 資本金の減るリスクが高い
合同会社は出資者と経営者が同じなので、出資者の一人がなんらかの事情で辞職することになった場合、出資額の払い戻しを請求されることがあります。
もちろん払い戻し額には限度がありますが、会社の資本金が減るリスクは高いことを承知しておきましょう。
Q2.外国人が会社設立するときに必要な書類は?
詳しくは以下の説明に目を通してみてね。
一般的に会社設立時に必要な書類と外国人が会社設立する際の提出書類の違いは以下をご覧ください。
- 海外に住んでいる発起人や取締役→サイン証明書と訳文
- 発起人が外国法人の場合→宣誓供述書、サイン証明書
印鑑証明制度がある国については、印鑑証明書をサイン証明書の代わりに提出することも可能です。
また訳文は翻訳の資格などがある必要はありません。
サイン証明書や宣誓供述書は、大使館や各国の該当の公証役場で作成できます。
経営管理ビザとは?
経営管理ビザとは、外国人が日本で会社の経営や管理を行う際に必要なビザのこと。
取得要件は以下。
- 日本に事業所がある
- 3年以上の経営もしくは管理の経験があり、日本人の役員が受ける報酬額以上の報酬を受けること
さらに事業規模については、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 経営者以外で常勤の日本居住者2名以上の人材が従事する
- 資本金額500万円以上
なお下記のような在留資格(活動に制限のないもの)を持っている場合、経営管理ビザは不要です。
- 日本人の配偶者
- 永住者
- 永住者の配偶者
- 定住者
外国人が会社設立するときは日本の口座を開設する
発起人が外国人の場合も会社設立はできますが、日本の口座を持っていない場合は開設しておきましょう。
なぜなら会社を設立するために、資本金を発起人の代表の口座へ入金する作業があるからです。
会社設立時に開設する口座の金融機関は、銀行法に規定されているところである必要があります。
たとえ日本支店でも海外の金融機関だと、規定外のところである可能性もあるので注意しましょう。
ちなみに日本の金融機関で海外支店の口座は、問題なく使用できます。
なお複数いる発起人の中で代表発起人が日本の口座を持っていれば、その人の口座が使用可能です。
会社設立で必要な書類をそろえて、盤石なスタートを切ろう!
この記事では会社設立時に必要な書類を紹介してきました。
最後にまとめると、必須書類は以下の7点。
- 登記申請書登記申請書記入の注意点
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 登記すべき事項を保存したCD-R
- 定款
- 就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑(改印)届出書
そして場合によって必要になる書類は以下の2点です。
- 発起人の決定書
- 取締役全員分の印鑑証明書
- 設立時代表取締役選定書
会社設立で必要になる書類をしっかりとそろえ、万全な状態で起業していきましょう。
※必要書類を事前にそろえて余裕を持った会社設立を!